迎撃戦闘隊奮戦す

「クソッ、とんだ貧乏クジだぜ……」
ディバイソンのコックピット内でぼやいた。俺は今、ガンブラスター三機を引き連れデスザウラーの元へと向かっていた。

何故こうなったのか。
数日前に第二次暗黒大陸上陸作戦を成功させた我が軍は、まず上陸地点の守りを固める事にした。
ここを一大拠点として整備し、今後の進撃を行うのだ。
エントランス湾、その地点はそう呼ばれた。
当然、敵はその奪還を目指した。そして今、近づきつつあるデスザウラーに我が隊が向かっているというわけだ。
敵の襲撃は多く、整備や補給はあわただしい。正直、デスザウラーにはマッドを持つ隊を向かわせるべきだがそれは叶わなかった。
そこで我が隊に白羽の矢が立ったのだった。

俺のディバイソンに続いて、三機のガブラスターが綺麗に並んで歩いている。
ガンブラスター、運用開始されたばかりの最新鋭機。
”我が軍の切り札だ。全機、傷一つ付けずに持ち帰るように――” 出撃時にこう言われた。
「チッ…、じゃあテメェが行けってんだよ……」

上層部はどうやらいたく気に入っているらしい。
黄金砲がまぶしい。傷どころかチリ一つ付いていないピカピカの新品だ。
たしかに気持ちは分からなくもない。俺だってできる事なら傷など付けたくない。できるかどうかはともかく。

そしてパイロットもまた、ピカピカの新米だった。数ヶ月前に軍学校を出たばかり。実戦はこれが初という奴らだ。
「俺なんて最初はガリウスだったぞ。しかも中古の…」
俺が兵になった頃は、既にゴドスが主力だった。当然それが支給されると思っていたら、とんでもない旧型だった。
ようやくゴドスに乗り換えたのは、敵がもうイグアンやハンマーロックを就役させた後の事だった。

恵まれてやがる。

半年前、我が軍は第一次暗黒大陸上陸作戦で大敗した。
デッド・ボーダーやダーク・ホーンはわが軍のゾイドを破壊し尽くした。
ゾイドこそ持ち前の国力ですぐに数を回復した。
だがパイロットはすぐに育つわけじゃない。先の戦いで多くのベテランを失った今、新米が切り札に乗る状況が生まれていたのだった。
ちなみに俺がディバイソンに乗っているのは、別に新米に華を持たせたわけじゃない。隊長機として運用するならこっちの方が適しているからだ。
ガンブラスターは強いがファイターでしかない。味方各機に適切な指示を出すような機能はないのだ。
あとは、新米ではディバイソンの操縦が無理という事情もあった。コイツの荒っぽい戦法はベテランの腕を必須とする。

「いつになったら俺は新鋭機に乗れるんだよ」
我ながら愚痴が多いが仕方ないと思う。
そしてぶつくさ言いながらも、徐々に距離は近づいてきた。

デスザウラーの位置を確認して三機に通信を入れる。
「現在敵との距離は1万m、敵はまだ俺達に気づいていない。このままの速度を保って前進を続けろ」
「軍曹殿、敵は本当に気付いていないのでしょうか?」
震える声が返ってくる。
「気付いていたらもっと構えている筈だ。敵は今エントランス湾に向けて一直線に歩いている。俺達に気付いている動きじゃない」
「しかし…………」
「ああそうだ、絶対なんて保障はできねぇ。俺達にとっくに気付いて裏をかいてあんな動きをしているのかもしれねぇな」
「で、では……」
「だがな、考えてもしかたねえだろうが。ウダウダ迷ってりゃ倒す事も逃げる事もできん。可能性の高い方に賭けて信じて貫くしかねえんだ、いいかげん腹くくれ」

しかし言って無理もないと思う。
俺は最初ガリウスに乗ったが、最初は対人任務だった。その後ゴドスに乗った時はマーダ、ベアファイターではハンマーロックを相手にした。
そうやって場数を踏み、ようやく大物に向かうようになった。
新米どもは今、初陣で最悪の敵に向かっているのだ。
強力な新鋭機にいきなり乗れた。だから幸運なのか。強力な新鋭機に乗ったから初陣が強敵になった。だから不幸なのか。
これはもう当人にしか分からないだろう。

ガンブラスター、黄金砲。その威力はコングをも蜂の巣にする。
そしてデスザウラーの超重装甲をも貫く。ただし、これはさすがに近距離からの射撃に限られた。
距離1000以内、これ位から全力で撃ってようやく貫く。
当然だが、この距離は荷電粒子砲の射程である。
超電磁シールドで防げるハズはない。勝つためには、気付かれずに距離1000まで近づく事が必須だった。

今回の作戦はこうだ。
まずギリギリまで近づく。といっても近づきすぎるとバレるので4000位が限度だ。
この位置で停止し、穴を掘ってガンブラスターを沈める。なお、この作業はゾイドの爪を使えばすぐに終わる。こうした事がすぐにできるのはゾイドの利点である。
ガブラスターは穴の中で射撃準備をして待機する。

次に俺のディバイソンが飛び出しデスザウラーを攻撃する。
本格的なものじゃない。軽く攻撃しながら後退し、距離1000にまで誘導するのだ。
その時が来ればガンブラスターが一斉に飛び出す。黄金砲を全力で撃ちながら突撃、見事デスザウラーを葬る。
ガンブラスターは三機も居る。この作戦は楽に成功するハズだった。新米でなければ。

やがて距離が4000まで近づく。俺は指示を出した。
「よしヒヨッコども、停止だ。予定通り穴を掘ってここで待機」
その様子を横目で見る。数分で作業は完了した。
「上出来だ。しかしここからが本番だぞ」
口調を変えて続ける。
「ここからは気づかれるかも知れんから通信も禁止とする。ただし適切なタイミングで指示を入れるからスイッチは入れたままにしとけ」
通信が入った時、その時は飛び出し撃つ時だ。
「軍曹殿、距離1000以内で全力射撃ですね」
「そうだ。俺の指示が出次第、飛び出して撃てばいい」
「もしも通信機が故障したら……」
「バカヤロー、最新鋭機がいきなり壊れるかよ。もし何も聞えなかったら隣の機と同じ動きをしろ」

全く、ガリウスやゴドスなんて射撃は全て手動だった。
自動照準装置なんてない。レクチル内に敵の姿を捉えて、あとは全て自分の判断でボタンを押した。
ビーム砲は大気の状態で拡散率が変わる。実弾は飛距離が伸びるに従い弾道が下がる、いわゆるションベン弾だ。
それらを瞬時に計算しないと有効弾や命中弾は得られない。
ガンブラスターには、そうした誤差修正が全てオートでされる機能が付いている。
最適なタイミングで音声ナビがガイドをしてくれるオマケ付きだ。
申し分ない。
だから頼むからミスんなよ……。俺は心の中で祈った。

ガンブラスターが待機状態に入ってから、俺はディバイソンをデスザウラーに向けて加速した。
あえて派手な動きをして敵の注意を誘う。
実はデスザウラーに挑むのは三度目。しかし先の二回は、いずれも集団での一斉突撃だった。
さすがに単機ではビビるが、ここまできた以上はやるしかあるまい。

デスザウラーが俺の姿を捉えた。一瞬立ち止まり、そして構える。
俺は構わず突撃し、近距離から17門突撃砲を数初撃った。
命中。デスザウラーが怒りの声をあげる。だがどうするかは迷っているようだ。
幸いにも荷電粒子砲は貯めていない。多分、エントランス湾の破壊用に温存するのだろう。
というか、単機のディバイソンが相手ならわざわざ使うまでもない。大抵のデスザウラーがそうであるように、巨大な爪を立てて格闘戦を挑んできた。
俺は敵との距離を保ちながら砲撃を続けた。
何発当たっただろう。まるでダメージはない。ただその代わりに相当イラついている。
ビーム砲を乱打し、俺をどうにか撃ち抜こうとしていた。

デスザウラーには荷電粒子砲を除けばさしたる火器がない、そう語られる事は多いが大きな誤りだ。
頭部三連ビーム砲は、最大出力ならシールドライガーをも貫く程の威力がある。
ディバイソンなら数発は耐るが、大ダメージには違いがない。
これを乱打してくるのである。

回避に専念する俺は、何とかそれをかわしていた。
予定通りに後退。
距離は現在2000。あと少しだ。あと少し耐えれば黄金砲の射程に入る。
冷や汗をかきながらも、確実に勝機は近づいていた。
だがその時、俺は信じられないものを見た。
恐怖に耐えられなくなったのか、一機のガンブラスターが穴からはいずり出てきたのである。

デスザウラーはすぐにそれに気付いた。
「あのバカッ……!」
続けて残りの二機も飛び出てくる。
デスザウラーは、オーロラインテークファンを回して荷電粒子砲の発射準備に入った。
三機まとめて倒すつもりだ。
「マズイ…、いや、この距離なら……!」
俺は通信マイクを引っつかんで叫んだ。

「ガンブラスター各機に告ぐ。テメェらのらせいで状況は最悪だ」
「も、申し訳ありません軍曹殿、状況を確認しようと……」
「もういい、今は謝るより奴を仕留めるのが先だ。いいかテメェら、営倉行きが嫌ならここからは俺の指示通りに動けよ」
「は、はい」
頼りない声が返ってくる。
「現在距離は1900、敵は荷電粒子砲をチャージ中だ。だがまだ貯め始めたばかりで時間がかかる。今から全力でデスザウラーに向かえ、そして距離が1000を切ったら黄金砲を撃て! 急げば間に合う!!」
勝つにはそれしかない。

もはやデスザウラーは俺の事など気にしていない。
荷電粒子砲でガンブラスターを倒し、そしてその後にゆっくり料理するつもりなのだろう。
「しくじんなよ……」
大丈夫だ。計算上は多少の余裕を持って射程に入る。
先に黄金砲を撃てる。勝てる。

だが俺は、またしても信じられない光景を見た。
「嘘だろ、バカヤロウ……」
ガンブラスターが遅い。明らかに怯えている動きだ。
「クソッ……、パイロットの意思が伝染ってるじゃねえか……」
精神リンクで動くゾイドは時にこうなるのだ。
「腹くくりやがれ。そしたら絶対大丈夫だ!」
がなりたてる。だがガンブラスターは遅いままだ。

更に悪い事が起こった。
黄金砲が火を噴いた。距離はまだ1500、多少効いているが致命傷じゃない。
しばらくして黄金砲の音がやんだ。
「ぐ、軍曹殿、故障です! 弾が、弾が出ません!!」
「故障じゃねえ……、ただのエネルギー切れだ……」
黄金砲はコアが持つエネルギーを一気に放出する。だからとてつもない威力を持つわけだが、一方で射撃可能時間はわずかだった。
撃ちまくればすぐにエネルギーが空になるのだ。
全機とも沈黙する。
「クソッたれ……」
そうこうしている内にデスザウラーはチャージを終えた。

「苦労させられるぜ」
角をつき立て全力で突撃する。
もういい。もはやどうしようもならん。
ならばせめてガンブラスターを離脱させよう。奴らがエントランス湾まで戻れば、さすがに猛省して懲りるだろう。二度目の出撃では多少根性を持ってくれるかもしれない。
「全機離脱しろ。全力でエントランス湾に戻って別の隊を呼んでこい」
射撃するエネルギーはなくとも、離脱だけなら何とかできるだろう。
「し、しかし……」
「今テメェらにできる事はそれだけだ。損失するか、鹵獲されるか、それとも機体だけは無事に戻すか。どれがいいかは分かるだろう」

デスザウラーの喉元が妖しく光る。もはや時間がない。
「早くしろ! 迷うな!」
17門突撃砲、四連バスーカ、ミサイル、衝撃砲。持てる限りの武器を全力で撃ちながら突撃した。
だが角が到達する瞬間、強烈な蹴りの一撃が入った。
吹き飛ばされ、コックピット内でしこたま頭を打つ。
「クソッ、さすがに強ぇじゃねえか……」
だが俺はディバイソンを無理に起こした。
「あとちょっと無理をさせてくれよ」

再び正面から突撃。
デスザウラーは両腕でディバイソンの角を掴んだ。
恐るべき力。少しも動けない。
そのまま持ち上げる。引き裂く気か。
だが、
「そうくると思っていたぜ…」
持ち上げられながら、残る砲弾を全て撃った。
喉元でしこたま弾が炸裂する。デスザウラーは一瞬怯んだ。
まさかディバイソンにここまでガッツがあるとは思っていなかったのだろう。悲鳴のような声を挙げ、ディバイソンを放り投げた。
そして怒りからか、荷電粒子砲のターゲットをディバイソンに変えた。
「そうだ、それでいい。だがただでは喰らわんぜ」

いよいよ荷電粒子砲が撃たれる。口の中が光りだした。
「ディバイソン、最後の力を振り絞れ!」
掛け声と共に突撃する。
各部から火花をだしながらも、ディバイソンは最後の気力で走りぬいた。

閃光。光の渦が駆け抜ける。
俺は生きていた。
広範囲に広がる荷電粒子砲はもはや避けようがない。だが唯一、敵に接近すればわずかなチャンスがあった。
荷電粒子砲は発射後に扇状に広がる。近づけば、荷電粒子砲はまだ広がっておらず避けれるチャンスがあるのである。
ただし、それはデスザウラーに異常接近している事でもある。発射を終えたデスザウラーは、かわされた怒りを上乗せしてディバイソンを八つ裂きにするだろう。
ここから更に逃げ切れる可能性は?
もはや次の一手はなくノープラン。
だがまぁいい。どうにかこれでガンブラスターは助かるだろう。
俺も俺でどうにか最後までもがいてやるさ。

だがその時、俺は三たび信じられないものを見た。
「何やってんだ……」
ガンブラスターが全機こちらに向かっている。
その動きは速く力強い。この土壇場で精神リンクをいい感じに成功させやがった。
1000どころか200、至近距離にまで近づき黄金砲を放つ。
「軍曹殿、り、離脱を……!」
エネルギーの回復していないガンブラスター。その射撃は弱弱しい。この距離から撃っているのに牽制にしかなっていない。
だがその隙に、別のガンブラスターが巨大な牙でデスザウラーの尻尾に噛み付いた。デスザウラーは思わず尾を振り回したがそれでも離れない。
デスザウラーがその気になれば、エネルギー切れ寸前のガンブラスターなど一掃できただろう。
だが敵は、その事には気付いていないようだった。
更に別の一機が黄金砲を放つ。
気迫に圧されてデスザウラーは尻尾の動きを止めた。

噛み付いていた一機が素早く離脱する。
黄金砲を回し、三機揃ってデスザウラーを威嚇した。
「う、撃つぞ……」
地面をドシンと踏みつける。
デスザウラーは咆哮し、しかし徐々に後ろに下がった。
そのまま後退し、やがて視界から消えていく。
ハッタリは効いた。敵は恐れをなして逃げた。
俺達は、どうにか任務を成功させたのだった。


その後、結局ディバイソンは損失した。いや、コアは無事だったがそれ以外は全てダメになっていた。
コア以外の部分は全て取り替えが必須、そしてコア自体も傷を負い出力が低下した。今後はもう本土に戻して予備役にするらしい。
悪い事をした。だが生き残ったという事で何とか許して欲しい。

ガンブラスターは傷一つなかった。強いて言えばデスザウラーの尻尾に噛み付いた機だけはわずかに牙をすり減らしている。が、まぁよく見なければ分からない程度だ。
エントランス湾に戻り補給をした途端、三機はもうフルパワーに回復していた。
司令部に呼ばれた俺はディバイソン損失の責を問われた。だが一応は作戦を成功させた事、そしてガンブラスターが全機無事だった事からそれ程ではなかった。
いや、後半はよくぞ新鋭機を無事に戻したと褒められる様であった。
しかも最後には高級な酒まで渡された。曰く、初陣を見事な勝利で飾った期待のパイロットに渡してやれ、だそうだ。

「アンタも戦ってみりゃいいんだよ……」
扉を出た俺は呟かずにはいれなかった。
「軍曹殿、先ほどは申し訳ありませんでした」
するとそこに三人の新米。背筋を伸ばして綺麗に並んでいた。
「私どもがふがいないばかりに軍曹殿に多大なる迷惑を……」
何とも神妙そうな面持ち。
「言い訳はいい。鉄拳制裁だ。歯ァくいしばれ」
俺はそう言って拳を振り上げた。
三人は目を閉じ背を少し丸めた。

拳を思い切り握り、そして徐々に力を抜く。
「バカ、ホントにやりゃしねえよ。殴られる覚悟があったから許してやる」
「軍曹殿、しかし我々は……」
「いいんだよもう。それよりほら、これもらっとけ」
酒瓶を投げ渡す。
「指令からの差し入れだ。次からはしっかりしろよ」
「は、はいっ!」


三日後、ディバイソンに代わる補充機が入ってきた。俺の次の愛機だ。
それを見てたまげた。そこに居たのはカノンフォートだった。
添えられていた手紙曰く、本機ならディバイソンからの機種転換訓練なしで操縦できるだろうとの事だ。
更に小型ながら主砲は強力で汎用性も高く云々とあったが、正直どうでもいい。
「勘弁してくれよ……」
なんでいつも俺はこうなんだ。いや、新鋭機に違いはないが。
ただ、最後にこうも書かれていた。現在、貴隊の為にマッドサンダーを手配中である。ただし今しばらくの時間がかかるため、それまではカノンフォートを使って欲しい。
なるほど、そういうわけか。
そうかようやく俺もマッドに乗れるわけか。

ニヤつく俺に新米どもが話しかけてきた。
「軍曹殿、マッドサンダーが来るんですか! あれは四人乗りですから、その……、我々も?」
「バーカ、お前らは十分いいのに乗ってるじゃねーか。マッドは俺の専用機になるんだ」
「でも軍曹殿、やはり四人居た方が能力を最大限に……」
「ピヨピヨうるせぇなあ。しゃあねえな、じゃあ到着までに俺が認める動きをすりゃ考えてやるよ」

賑やかなやり取りをしている中、周囲に警戒警報が入った。
どうやらまた敵の襲撃らしい。
そして俺の隊の出撃が決定した。
敵はまたデスザウラー。
こちらの戦力はカノンフォート1、ガブラスター3。
「前と同じ手は通じん。今回はイレギュラーも多いだろうがしっかりやれよ」
「お任せください」

全く、頼むぜ新米ども。
半ば呆れ、もう半分は機体を込めて、俺の部隊は出撃した。


ちなみにこの後、デスザウラーが暗黒タイプであった事が判明する。
そこで新米どもが取り乱しえらい事になるわけだが、それはまた別の話である。
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帝都防衛航空隊更新

帝都防衛航空隊を更新しました。第8話です。
こちら

もはやあらすじは同じとしつつも当時ブログで書いたものとは完全に違う文章になっていて完全に書き直しています。
その分、ブラッシュアップ…できていれば良いのですが。


シュトルヒはいうほど活躍しておりません。
本作ですが、シンカー然り「そろそろ活躍しそう。あ、活躍した!」と思ったらすぐにまたダメになります。
そんなシュトルヒですが、いったい最後はどうなる事やら。

バトストや箱裏バリエーションを知っていれば「おっ」と思うような小ネタを出来るだけちりばめつつ構成しています。
今回は箱裏バリエの「ブラックバード」が登場していたり。
ただ、そろそろまた話の流れなどがややこしくなってきた頃だと思うので次は解説編2も挟みたいと思っています。

そんな感じで、また次回更新をお楽しみにして頂ければ幸いです。

作品解説 キングゴジュラス野生体捕獲作戦

HP更新しました。
先日、ブログで掲載しましたSSをHPに編入しました。

キングゴジュラス野生体捕獲作戦
こちら

という事で本作について、改めてあれこれ。
途中の解説でも書きましたが、自分としてはかなり異質なテーマで書いています。

私がメカ生体ゾイドに入った頃、世界観は激しいバトルと人間ドラマでした。
その頃というのは、ゾイド=生物であるという認識は極めて薄くありました。
バトスト3巻の「兵士の命はどんなゾイドよりも重いのだ」というヘリックの言葉はけっこう象徴的なものがあると思います。
そこに絆などというものは希薄で、「純然とした兵器である」という扱いでありました。
あと、これはバトストなどには未収録なんですが、同時期に小三で掲載されていた「ゾイドバトルコミック フランツ編」に興味深いシーンがあります。
ここで整備兵を交えつつ「量産タイプのゾイドなどみんな一緒だ」っていう台詞があったりして。
この当時は、かなりこんなもんであります。

今、様々な資料を集めてみて、メカ生体ゾイドは極初期の頃は生物であるというアピールが比較的強く、しかしバトストが本格的に始まった頃から兵器的な描写が増えていると感じます。
ただ暗黒編以降はクルーガーの各愛機に見られるように生物であるという面が再度強調されるようになっていますが。
そして機獣新世紀以降は、生物であるというアピールが格段に上昇しているのは周知のとおり。

あくまで兵器的な扱いであるゾイド。
それが激しい「戦争」という緊迫した世界観を盛り上げたという面はあるし、その世代である自分としてはそういった運用が好きな所も大きいです。
戦争において悠長に絆やなんや言うのは可能なのか?甘っちょろくないのか?そういう風に思う部分もあるにはあります。

・・・ちょっと余談ですが、思うに、機獣新世紀ゾイドの頃にあった派閥や対立というのは、この辺の「扱い」というか「捉え方」というか…、「ゾイドの定義」が原因だった面もあるとは思います。
まぁ、それはいずれ詳しく・・・。

ただそんな風に兵器的な運用・描写を好む(その上でほんの少し押しつけがましくない程度で生物的な面があればいいと思っているような)私が、あえてゾイド=生物であるという面を全面的に押し出して書いてみたいと思って着工した作品であります。
「生物として」というより、むしろもう神格化している面すらありますね。

何でこんな風な事をしたかというと、まぁやっぱり自分の中の世界というのは大事なんですが、しかし現状で満足するのではなくもっと膨らませたい。
膨らませる為には他のものに触れるのも良いだろうという事であります。
普段では触れない異質なものをあえて取り入れてみる事で何か新しい発見があるかもしれないし、もしかすると自分の考えが変わる事があるかもしれない。
そういう事には常に挑戦したいと思っています。

で、まあ書いてみて自分の中で今後取り入れたい部分は色々と出てきた。そんな作品にはなってくれました。
どうも抽象的なあとがきですみません。


具体的な部分のモチーフなど。

キングゴジュラスについて。
今作ではゴジュラスの特殊個体としています。
戦争による生態系の壊滅的破壊。そしてそれゆえに生まれた生命。
最強ゾイド、ワンオフ機。であるならばそれなりのものを背負わせたかった。
意思を持ち疎通させる事が出来ますが、風の谷のナウシカの王蟲の描写を参考にしています。

あと、メカ生体世代的にはやっぱりゴジュラスというのが別格なゾイドなわけで、ゆえにゴジュラスの特殊個体=特殊個体ではあるが同じ種である としました。

リバセンの描写にあるようなグローバリーIIIのテクノロジーを使って作られた強い機体ではなく、あくまで「野生体として強い」というものとして捉えて描いています。
これは、この時期の技術・・・例えばキメラであったり合体であったり・・・そういった忌むべきテクノロジーの対極として、「昔ながらの心を通わせるゾイドたるキングゴジュラス」がある。
アンチテーゼな存在として捉えているからであります。

キングゴジュラスは無敵ではない。
至近距離からビームスマッシャーを受ければ装甲はさすがに耐えられない。暗黒大陸本土では、さすがに強力な暗黒軍相手に苦戦します。
それでも彼は満身創痍になりながら戦う。その信念の為に。
という感じ。
この辺はリバセンの捉え方とは全く異なるものですが、本作としてはこう捉えたという感じです。

最後の部分には、「キングゴジュラスは簡易な改造だけで最強ゾイドになった」とあります。
この辺は、「じゃあもし期間に余裕があり2~3年かけて徹底的に作り込んだキングゴジュラスを作っていただどうなってたんだ」というような事も想像して頂けると嬉しいです。
キングゴジュラスは強い。
でもその強さはまだあれで到達点ではなく底が見えない。
そんな所も表現できていれば良いのですが。


キメラについては、今作では忌むべき存在として描いています。
ただオルディオスやバトルクーガーも忌まわしいとして排除すべきかというとそうは思わない。
彼らの存在は彼らの存在で肯定されるべき側面もきっとあると思っています。
なので、また考えがまとまってきたら本作のようなテイストでキメラ系の事も描いてみたいと思っています。

なんだかまとまりのないあとがきですが、んー。
すみません。
後ほど、この文章も読みやすいように書き直して「あとがき」としてHPに編入したいと思います。

キングゴジュラス野生体捕獲作戦 後編

昨日のSSの続き

キングゴジュラス野生体捕獲作戦 後編
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翌日、バーナードとパーシーの2機のゴジュラスの他に、マッドサンダー1機とディバイソン4機も捕獲隊に入った。

「全機揃ったな。今日こそ捕獲するぞ」
マッドサンダーのコックピットから手を振っているのはヘリックだった。
「大統領!?」
「君達の話を聞いて、私も一目見たくなってな。さすがにこれだけの兵力があれば捕獲できるだろう」

「さあ、早めに終わらそう。マッドサンダーとディバイソンは首都防衛の貴重な戦力。一時的に借りている状態だ。うかうかしてたら事だ」
しかしそう言うヘリックの目は、焦りの表情というより少年の様に輝いて見えた。
なんだかんだ言って、彼もまた生粋のゾイド乗りなのである。

今日もビーコンを頼りに近づく。
「居た。大統領、あいつです」
「あれか…。しかし実物を見ると本当にでかいな…」
「でしょう。しかし、さすがにこの戦力ならいけますぜ。おっぱじめましょう」
「うむ。では作戦を開始する。ディバイソン隊、前に!」

かくして、二日目の捕獲作戦は幕を開けた。

「撃て!」
ディバイソン全機が密集してキングゴジュラス側面に移動、衝撃砲を嵐のように放った。
対戦闘ゾイド用の装備。中型ゾイドであれば為すすべなく吹き飛ぶ衝撃砲が4機分、門数にして12門が一斉に火を噴いた。

側面からの猛烈な衝撃砲で体勢を崩し、そこへ間髪入れず体当たり。たまらず転倒したキングゴジュラスを捕獲する。
これがシナリオだ。
だが、思うように効果が上がらない。
「少しも効いてないぞ…っ! くそっ、突撃だ!」
ディバイソン隊が、たまらず突撃する。さすがにこれなら…!

だがキングゴジュラスは瞬時に体勢を変え、ディバイソンを向いた。全力で突撃するディバイソンに強烈な蹴りの一撃を見舞う。
二機が吹っ飛び、一機が臆した。
残る一機は何とか体当たりに成功する。だが何の手応えもない。

「こいつ…」
まるで巨大な岩のような感じ。確かに押しているがまるで動かない。
「デスザウラーだってグラつくんだぜ……。なんてヤツだ……」
ふいに、キングゴジュラスが腕を振り上げた。
「いかん、退避っ…」
だが言い終わる前にディバイソンの巨体は宙に舞った。

「まさか……」
わずかな間にディバイソン4機が戦闘不能になった。

キングゴジュラスは、次にマッドサンダーとゴジュラスの方を向いた。
「…支援、頼むぞ」
ヘリックのマッドサンダーが、ぐっと前に出る。
「大統領!」
「大丈夫だ。だが…、最初から全開でいかねばな。マグネーザー始動!!」

対峙するキングゴジュラスとマッドサンダー。
ヘリックには、まだ勝算があった。
マグネーザー。サンダーホーン。
この武器は突き刺した後に電撃を放つ事で、敵メカを内部からショートさせ、ストップさせてしまう。
さすがにキングゴジュラスとて例外ではあるまい。これさえ成功させれば。

下手をすれば電撃を放つ前に生命体を貫いてしまう。
マグネーザーで捕獲するなんて前代未聞だ。
「生命体を貫く事に気をつけろ…。と言っても、そっちの方が難しいかな…」
ヘリックはこの時点で、キングゴジュラスの実力をデスザウラー以上と判断していた。
「マグネーザーの放電は強力だ。並のゾイドなら麻痺どころかそのまま死ぬ…。だが…あいつ相手ならその心配はあるまい。むしろ足りるかどうか…、か。」

マッドサンダーが、ゆっくりと間合いを調整する。
「極めて難しいが、やる他あるまい」

ギュゥゥゥゥ!!
マグネーザーが高速回転し、キングゴジュラスに向けられる。デスザウラーさえ貫く、共和国最強の武器。
ついに対決が始まった。

さすがに警戒したのか、キングゴジュラスが初めて構える。
「おい、援護と言われたが、どうやったら…」
バーナードとパーシーは圧倒され、なかなか動けない。
「あぁ…」
だがついに決意を固め、動く。
「マグネーザーをぶち込む隙を作る。俺達に出来る事はそれだけだ」

72mm連射砲が猛烈な勢いで火を噴いた。
狙いはキングゴジュラス…ではなく、その周辺の地面。
猛烈な射撃は地面をえぐり、砂煙を上げた。
たちまち奪われる視界。
「野生体にレーダーは無いだろう! 大統領!」

マッドサンダーが突っ込みをかける。
いける! その確信。
だが砂煙の中から、とんでもない絶叫が起こった。

ガァァァァアアアア!!!

キングゴジュラスの咆哮だ。
強烈な音波がこだまする。マッドサンダー、ゴジュラスの巨体が大きく揺れた。
「このゴジュラスが怯えているだと!? ぐおっ…、こらえろゴジュラス…!」
絶叫はゾイドを怯えさせただけではない。メカニックにもダメージを与えていた。

砂煙からキングゴジュラスの巨体が飛び出す。
「大統領…!」
マッドサンダーもダメージを受けている。もはやマグネーザーの回転は弱弱しい。
「くっ…、これまでか!」
コックピット内でヘリックが叫ぶ。

ガシッ!
キングゴジュラスがマグネーザーをつかんだ。
「へし折る気か!?」
「大統領、脱出を!」
もはやマグネーザーは全く回転していない。
巨大な腕でマグネーザーをつかんだキングゴジュラス、その巨大な頭部がゆっくりと近づいてきた。
バーナードとパーシーは、思わず目をつぶった。

だがキングゴジュラスは、何故か攻撃する事はなかった。
そしてその目を見た瞬間、マッドサンダーと、そしてマッドサンダーを通じてヘリックは知った。
キングゴジュラスの大いなる想いを…。


かつて数え切れないほどの生命で溢れかえったこの地。
だが人の愚かしさが美しいこの地を引き裂き、崩壊させた。
その結果生まれた、自身のような特殊な個体。
生まれてしまった事、それこそが生態系の崩壊の象徴。存在する事が忌まわしい存在。それが自分。
孤独。怒り。

元々、ゾイドは人の想いを汲むだけの高度な意思を持つ。平和の為の志を信じ、戦闘を受け入れた。
しかし今、それが分からない。分からないから苛立つ。


「お前は…、そんな風に思っていたのか…」
キングゴジュラスは手を離した。
”去れ”
そう言っているようだった。

しかしヘリックはもう一度操縦桿を握った。
「お前の想い、しかと受け取った。だが………、」

ヘリックとて、共和国の指導者としてしている”戦争” その全てを理解しているとは言いがたい。
理想は今でも強い。ゾイドを愛する気持ちも本当だ。だがそこに起こる矛盾に対し、答えが出ていないのも事実。
だがそれでも、言葉にならない想いがあふれる。
キングゴジュラスよ。
お前の想いはもっともだ。だがそれでも…、

「今度は私の想いもぶつけよう! 言葉にはならんが感じてくれ。マッドサンダー、まだいけるか!?」
ギュゥゥゥ!もう一度、マグネーザーが力強く回り始めた。マッドサンダーが力と気力を振り絞る。

「バーナード、パーシー、ここからは手出し無用だ。そこで我々の戦いを見ていてくれ」
「へ…、大統領…?」

全力の体当たり。キングゴジュラスはフリルをつかんで受け止めた。
「そこをつかむか。デスザウラーには出来ない芸当だな」
体格に余裕があるからこそだ。
「やはり簡単には受け入れてくれないな。だが、まだまだこれから!踏ん張れ、マッドサンダー!」
全力でキングゴジュラスに押し込む。マグネーザーを。そしてヘリックの想いを。

「おい」
バーナードが言う。
「あぁ、キングゴジュラスが……」

戦力差は歴然だった。
キングゴジュラスはデスザウラーはおろか、マッドサンダーすら遥かに越えていた。
だが今は、もうマッドサンダーを倒すような事はしていない。ただその全ての攻撃を受け止め、見極めているように見えた。

「これならどうだ…!」
もはやマッドサンダーと完全に一心同体し、全てをぶつけるヘリック。

「そういえば、最初の頃はこんなのだったな…」
「あぁ…、確かにそうだった。宇宙船が来る前は……、ゾイド戦は互いの誇りと想いをぶつけ合うものだった。いつからか効率よく敵を殺す為だけのものになってしまったが……、なんでなんだろうな」

半刻ほど対づいた戦いの後、マッドサンダーのエネルギーがついに尽きた。
コックピットから出るヘリック。
そしてキングゴジュラスは、ゆっくりとヘリックに近づき、その頭を下げて見せた。

「野生体が、心を開いちまったぞ…」
「いや、ずっと前はこれが当たり前だったさ…。捕獲機で無理やり捕まえている内に忘れちまっただけで…」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

三時間後、グスタフが到着し、破損機の応急修理と補給が完了した。
キングゴジュラスの巨体はグスタフに乗るものではなかったが、もはやヘリックの言葉で付いてきてくれた。

「しかし、ようやくやりましたな」
「まさかこんな形で決着するなんて…。当初は思ってもみませんでした」
「ゾイドの奇跡を目の当たりにした感じだな…。いや、思い出したというべきか」
共和国首都への帰路、三人はキングゴジュラスを見上げながら話し合った。

「しかし大統領、これで捕獲は出来ましたが、この後どうするおつもりで? 本格的に戦闘用に改造するのはかなりの期間がかかりそうですが……」
「いや、それは必要ない。こいつならもう、最小限の改造だけでいけるさ…」
「違いありませんな」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

かくして、キングゴジュラス野生体はヘリック共和国に編入された。
通常、このクラスの野生体を戦闘用に改造するとあらば、徹底研究、その体格に合わせた装甲の製作、火器の開発あるいは選定、エネルギータンクの設置、補助ブースターの装備、etc. 様々な工程が必要であり、開発設計には最低でも2年はかかる。
しかしキングゴジュラスは、ほんの最低限の改造だけ…、わずか1週間程度の改造で、圧倒的な最強のゾイドとして成り得たのであった。

自身の想いとヘリックの想い。それを背負い、キングゴジュラスは暗黒大陸へ渡っていった。
その先にあるものは、まだ誰も知る由もない。

キングゴジュラス野生体捕獲作戦のこと

先に投稿した、こちらのSSに関してあれこれ。
こういう解説的なものは後編を投稿し完結させてから書くものだとは思いますが、あえてここで。

このSSですが、自分としてはかなり異質なテーマで書いています。

野性ゾイドってどんなのなのかなー・・・っていうと、正直あんまり考えていなかった分野です。
今でもどうなっているかという明確な答えは持ちません。
しかし今回は、あえて(自分の中で出した最終的結論ではないものの)「野性ゾイドとはこういうものである」という定義付けを行って書いています。

もう一つ異質なのは、キングゴジュラスについてです。
私は発売されたゾイドキットの機種は全て量産型だと思っている口でして。
基本、量産機が大好きです。決戦機であっても。

なんていうか「数が把握できないくらい量産されてる」っていう方がいいと思うんです。
キットを手にとって頭の中で妄想バトルを繰り広げて、最後に「こんな戦いもあったんじゃないかな」って思えるのがいい。
それがゾイドワールドに自分から入り込む大きな原動だと思います。
ワンオフだとどうしても劇中の描写が全てになってしまうので、そういった意味でちょっと残念だと思うんですよねぇ。
まあワンオフはワンオフでヒーロー的な要素がありいいんですが。

で、キングゴジュラス。
90年のキングゴジュラス参戦当時、自分はこいつも量産機だろうって思っていました。
というか今でも思っています。
「プロトタイプキングゴジュラス」が居るくらいだから、少なくとも少数は生産されているんじゃないかなあと思って居たりします。

ただリバセンの描写からしても明らかなように、今では「ワンオフであったと」されているようで、ちょっとした違和感は感じています。
今のところの収集した資料では、ワンオフだという記述はないし、逆に量産機だとする記述もありません。
なのでこの事に関しては更に研究を続け最終的な判断をせねばと思っています。

ただこのSSを書くにあたり、あえて「ワンオフであるという部分を取り入れて書いてみよう」という姿勢で書いています。
また、ワンオフであるなら何故ワンオフであるのか。なぜヘリックがパイロットになったのかという理由も取り入れたくて書き始めました。

ついでにというわけではないんですが、リバセン期で追加された設定であるところの「オルディオス=キメラ」のような設定も積極的に取り入れつつ書いています。

このSSがどうこうという説明ではないんですが、自分としてはあえて異質なものを受け入れるスタンスで一本書いてみれば、自分の中のゾイドワールドが更に広まるかも と思って書き始めたものであります。

そんなわけで、後編はおそらく明日投稿するでしょう。

キングゴジュラス野生体捕獲作戦 前編

ゾイドSS キングゴジュラス野生体捕獲作戦 前編

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「そうか……」
前線の状況報告を受け、ヘリックはがっくりと肩を落とした。
軍部首脳会議。並居る将軍達を前にして、ヘリックは決して落胆を見せてはいけない立場である。
彼の意思はそのまま全軍に伝わる。しかし戦況の報告は、彼がそうするのも無理はない程に、悲惨なものだった。
「精鋭を集めた第四師団が壊滅、か。敵の新型は相当強いな……」

オルディオスの配備でギル・ベイダーの頭を抑えることに成功した共和国軍は、再び進撃を開始した。
しかし暗黒軍の対応は早かった。新鋭空戦メカ、ガン・ギャラドをはやばや配備したのである。

飛行性能でオルディオスを上回るガン・ギャラドは、しかも十分な数が量産されていた。
ギル・ベイダーの護衛に付いたガン・ギャラドは、再び暗黒軍に優位性を与えた。
オルディオスがガン・ギャラドと必死で戦っている間に、ギル・ベイダーが共和国軍に襲い掛かる。
共和国軍は、再び猛烈な勢いで押し戻されていた。

ガン・ギャラドは強かった。
高速飛行モードと格闘モードに瞬時に切り替え可能な機体は画期的で、オルディオスをもってして勝つ事は難しかった。
いわんやバトルクーガーやサラマンダーF2では、という状況である。
何とかしてこれを排除する事は急務であった。

「大統領、残存する兵力全てを最前線に出しましょう。被害を考えず一気に敵首都を奪うんです。今ならまだ、強引に数で押せば突破できる可能性があります」
「しかし…、それでは甚大な被害が出るだろう」
「確かに、兵には辛い任務を言い渡す事になります…。しかし、他に方法が無いではありませんか。このままいけば暗黒大陸からの撤退です。今までの犠牲が全て無駄になります。それどころか、この中央大陸すら奴らの手に…」
「大統領、私も賛成です。確かに被害は大きいでしょう…。しかし今勝てば今度こそ平和になります。そして今やらねばジリジリと被害は増え続けるでしょう。今やらねば、いずれ今やる以上の犠牲者だって出かねません」

「…もう本当にこれしか道は無いのか…」
ヘリックは天を仰いだ。
彼とて、戦況が読めぬ器ではなかった。将軍達が具申する事は最もだ。
今決戦を避け、それでもジリジリと戦い続けるのは単なる先延ばしに過ぎない。その事くらいは分かっていた。
それでも、予想される犠牲を考えた時、彼はなかなか決断が出来ないのだった。

「大統領、これは非常に不確定な事ですが…」
ふいに、別の声が上がった。
「なんだね」
「仮に、ですが、敵新型に勝てるゾイドを我が軍が開発できれば良いのですね」
「もちろん理想だ。しかしそれは難しいだろうな」

オルディオス。バトルクーガー。ゴッドカイザー。TFゾイド。
共和国軍は、立て続けに強力な新型を開発していた。その開発能力は既に限界を迎えていたのである。
既に、"野性ゾイドをそのまま使っていたのでは、従来機以上に強力なゾイドは開発できない"そんな結論に達していた共和国軍は、キメラを合成する技術にすら手を出していた。
また、合体・変形するゾイドの研究も行い、その成果をTFゾイドという形で出していた。
それらは強力なゾイドを生み出した。しかし、その技術も、もう頭打ちになっていた。
"今ある技術はもう出しつくした。あと数年、研究や戦場でのデータを反映させない限り、今より強力なキメラを開発するのは難しい"
無念な事だが、共和国開発陣が現在言える答えはそれだけだった。

「いえ、大統領。先ほども申し上げました通り、非常に不確定な事ですが……、先日私の部下がメタロゲージ上空を飛行していた折、これまでにない新種の野生体を見つけたと報告しておりまして」

「野生体?」
「はっ、今更そんな…」
一斉に声が上がる。無理も無い。
今やデスザウラーやマッドサンダーでさえ、容赦なく散っていくのだ。
今、戦場で主導権を持つのはキメラ。これは一致した意見であった。

「いえ、どうか話だけでもお聞き願いたい。私も報告を受けた時は確かにそう思いました。しかしガンカメラの映像があります」
「いいだろう、流したまえ」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「でかいな…」
映像が流れると一様に驚きの声が挙がった。
巨大な二足歩行野生ゾイドがそこに居た。
その野性ゾイドは上空から撮影する姿に苛立ちを覚えたのか、ゆっくりと空を睨むと割れんばかりの叫び声を挙げた。
映像はそこで終わっていた。

「どうも、今のでガンカメラが壊れたようで、映像はここまでです。機体にも少々のダメージがあったらしく、このあとすぐ引き返しています」
「戦闘ゾイドに傷を負わす野性ゾイドなんて聞いた事が無いぞ…。プテラスか?」
「いえ、サラマンダーです」
「バカな…」

映像が途切れた後、皆は一様にヘリックに目を向けた。
「よし、分かった。直ちにその野生体の捕獲作戦に入ろう。捕獲後速やかに戦闘用に改造する。もしかすると、これこそが戦況を打破する切り札になるかもしれん」

「…だが、この作戦が失敗した場合は、現在ある全ての兵力で総攻撃を仕掛ける」


翌日、二人の軍人が暗黒大陸から中央大陸へ運ばれた。
バーナード大尉とパーシー大尉。共にゴジュラス乗りのエースだ。
この時代になっても彼らはゴジュラスに固執しており、並居る新鋭機をいまだに震え上がらせていた。
「こんな折に中央大陸の土を踏めるとは。休暇でもくれるのかねえ?」
「バカ言え。休暇なら専用機で首都まで送ってくれるわけ無いさ。おそらく、何か面倒な仕事でも……」

「遠路ご苦労。暗黒大陸では苦労をかけているな」
ヘリックが二人を迎え入れた。
「早速ですまんが、君達に是非やってもらいたい事があってな。知ってのとおり暗黒大陸での戦況は芳しくない。今回の任務は、それを打破する切り札になるかもしれんものだ」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「…以上だ。君達には、この未知の野生ゾイドを捕らえてもらいたい」
「野生体の捕獲…」
「そうだ。この野性ゾイドこそ、最強ゾイド、切り札になり得るものと考えている」
「大統領!」
バーナードは思わずヘリックに抱きつきそうになった。
「さすがです大統領! 最近はどいつもこいつも翼を生やしたり合体したりだ。ゾイドはそんなもんじゃねえ。でも最近は確かにキメラの奴らが強くて…。しかし任せてください大統領。必ずやその野性ゾイドを捕獲し、本物のゾイドの強さを見せてやります」
「あ、あぁ…、とにかくよろしく頼む」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「お前なあ、余計なところでヒヤヒヤさせるなよ」
「ははっ、すまんすまん。しかし久々にいい任務じゃねえか」
「全く…」
しかし内心、パーシーとて同じ気持ちだった。
彼らは緒戦から戦っていた。その功績は佐官になる資格を十分に持っていたが、現場に出る機会を減らしたくないという事で、あえて大尉に留まっている。

歩兵からゴジュラス乗りへ大抜擢された時の事を、二人は今でも覚えていた。
ゴジュラスの力強い鼓動。一挙手一投足全てが重々しかった。
そのゾイド本来の力強さに感動し、すぐさま惚れ込んだ。
そして操縦法が、また彼らを虜にした。
ゾイドの操縦法は精神リンクと呼ばれる特殊なもので行われる。
操縦者の意思をダイレクトにゾイドに伝える。操縦桿やボタンはその補助に過ぎない。
そんな特殊な操縦法だから、ゾイド乗りには適正と不適正があった。また同じ機体でも、何故だかゾイド側が拒否するような事もあった。

そんな気難しいゾイドを乗りこなす事こそ誇りであり、醍醐味であった。
無論戦争である。だがそれは凄惨で弁明も余地も無い愚かなものである一方、ゾイドとパイロットによる誇りをかけた戦いであったのも確かだ。

そんな状況を一変させたのが、キメラだ。
馬に翼を生やす。ライオンとワシを合成する。
確かにずっと昔からその手の研究はあった。特殊改造機というやつだ。
だが、それらが大々的に量産されるなんていう事は無かった。

それはゾイドが生物であるという倫理的な問題であったし、また乗り手のプライドの問題でもあった。
キメラは高度に遺伝子を制御されているので、従来機の様に精神リンクを必要としない。相性もほとんど無かった。
合理的であるが、多くのパイロットは戸惑いを隠せなかった。
しかしそれでも、強力なそれを主力に据えなければならないほど、戦況は逼迫していたのだ。
そして実戦投入されたそれは、確かに素晴らしい能力を発揮していた。
従来機などもはや不要と思えるほどに…。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「さてっと、まずは北東へ直進、か…」
謎の野生体には、サラマンダーがビーコンを打ち込んである。
発信のある方へ向け、二人の乗るゴジュラスは歩いていた。

「しかし…、減ったな」
「ああ。前に来た時はいつだったかな…。まだ新兵の頃だったか…。その頃は見渡す限り野生体で溢れていたんだが」

メタロゲージ内。
多彩な野性ゾイドで溢れかえったこの地に、かつての面影はない。
わずかに小型ゾイドがうろついているだけだ。
「…戦争はいけねえなぁ……って、思うよな…」
言うまでも無く、戦闘用ゾイドとして乱獲された結果だ。

「あぁ…」
ゾイドを何より深く愛する二人だが、同時にゾイドを使い戦争をしている。今もまた、新たに強力な新型を求めメタロゲージを探索中だ。
しかしその目的が最終的には平和の為である事も事実だ。
何もかも矛盾しているが、何一つ答えは出ない。
答えが出ないまま、二人は探査を続けた。

「しかし…、こんな痩せちまった場所に強力な新型が居るもんかね?」
「バランスを崩した生態系は崩壊する…。だが、逆に、狂った生態系が特殊な個体を生む事だってある」
「じゃあ今回発見したっていうのも…」
「可能性は高いな」

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「…いよいよ近いな」
「もうビーコンを使うまでもねえ。レーダーにハッキリ映ってるぜ」
エンジンをスローにし、気付かれないように近づく。

「こりゃあ…、想像以上だぜ……」
もはやレーダーを使うまでも無い距離に近づく。
目の前に、巨大な野生体ゾイドが居た。
「おいおい…。姿はそっくりだが、このゴジュラスの2周り以上はでかいぜ…」
そこに居たのは二足歩行の恐竜型ゾイドであった。
強靭な前後脚、太い尻尾、そして特徴的な背びれ。
どう見てもゴジュラスであったが、体が異様にでかい。
「さながらキングゴジュラスって所だな……。で、いくか?」
「…よし。いこう。だが油断するな。半信半疑で聞いていたが、野生体ながらサラマンダーに傷を負わせた話はあながち本当かもしれん」

ズンッ!
一気に出力をフルパワーまで上げたゴジュラスが二機、キングゴジュラスの正面に出た。
「悪いが捕獲する。大人しくしてくれ」

キングゴジュラスもこちらを振り向く。
「撃て!」
次の瞬間、必殺の電磁砲が次々に撃ち込まれた。
メカニックを一時的にショートさせる、捕獲用の装備だ。

だが、キングゴジュラスはさしてダメージを受けた様子もなく、ジリジリと接近してきた。
「おいおいおい、嘘だろ!戦闘ゾイドだってちょっとはダメージを受けるんだぜ…」
「くそっ、撃ち方やめっ! こうなったらこのまま捕まえるぞ」

迫り来るキングゴジュラスをがっしりと受け止める。
だが、キングゴジュラスは構わず歩を進める。
「うおっ! なんてパワーだ…」
野生体。補助ブースターもアシスト機能もない。ただ素の力でゴジュラス2機をかるがる越えているのだ。

「機体が持たねぇぞ…」
「ぐっ………」
そのまま跳ね飛ばされる。
唖然とする二人に目もくれず、キングゴジュラスはそのまま去っていった。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

「大統領、ありゃあすげえゾイドです。電磁砲は効かん。ゴジュラス2機がかりでまるで動かん。野生体だが下手すりゃデスザウラーより強いかもしれないです」
「見た目はゴジュラスに酷似していました。おそらく…、激変したメタロゲージの環境にあわせ進化した特殊なゴジュラス個体かと…」
「ふぅむ…。まさか野生体でそこまで強いとは、な」

通常、ウルトラザウルスやマッドサンダー級であっても、野生体はそこまで強くない。
敵弾に耐える装甲、効率よく加速する為のブースター、ここぞという時に一気にエネルギーを放出する為のエネルギータンク、etc. 様々な人工パーツが加わる事により、強力な"戦闘用"ゾイドとして生まれ変わるのだ。

「明日、部隊を編成しなおして再び挑もう」

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後編に続く

HELLDIVER

先日のアンケートで質問した「ヘルダイバーは飛べるのか飛べないのか」ですが、結局半々という結果でした。
ですが趨勢として「飛べるというより「浮ける」程度。また滑空程度なら大丈夫だが飛行ゾイド的な動きは不可能」という感じになったように思います。
シーバトラス的な運用は厳しいのかもしれない。

なんだか、以前はシーバトラスと互角程度の飛行性能だと思っていたんですが、今回のアンケの結果を受け、「浮ける」「滑空できる程度」でも面白いなあと思いました。
まだ自分の中で結論は出てないんです。
ですが今回は、ヘルダイバーの飛行性能をひとまずその程度と考えた上で文章を考えてみたいと思います。

SS風にしてみよう。

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中央大陸の北西。バロニア諸島には小さな島が無数に点在している。島々を縫うように、共和国軍ウルトラザウルス艦隊は単縦陣で航行していた。
ウルトラザウルス7隻と護衛のバリゲーター12隻の堂々とした威容である。

「陣形そのまま。速度、第一戦速を維持」
旗艦のウルトラザウルスから指令が飛ぶ。

「チッ、嫌な場所に差し掛かるぜ…」
司令のリー中将がつぶやく。
そう、ここは共和国艦隊にとって実に嫌なポイントだった。
制海権は共和国側が掌握している。だが、バロニアの島の幾つかを、帝国軍は頑なに守り続けていた。
それらの島には航空基地があった。そこから対艦装備を積んだレドラーが飛び立ち、航行する共和国艦隊に攻撃を仕掛けるのである。
現在航行中の場所は、ちょうど攻撃を受けやすい海峡だったのである。

「各砲座、バリゲーター。迎撃準備をしておけ」
だが、既にレドラー対策は完成しつつあった。
護衛を務めるバリゲーターは対空用の特別仕様である。ノーマルの対空ミサイル4発から、一気に16発に増やしてある。
単発での威力は弾頭小さく低いが、航空機レドラー相手には十分であった。
12隻のバリゲーターが合計192発ものミサイルを放つ。無論、ウルトラザウルス自身の対空砲もうなる。レドラーをもってして、さすがにこれを避る事は難しい。
実際、数日前の戦闘で、リー中将率いる艦隊はレドラーの襲撃を見事撃退し、見方被害ゼロ、敵撃墜6という素晴らしい成績を残していた。

「中将、レーダーに感あり。7時の方向、高度2000、距離65000、機影多数。間違いなくレドラーだ」
「やっぱりきやがったか…。速度、第三戦速まで上げ。陣形、輪形陣に!」
号令で、陣形が素早く変わり艦隊の速度は一気に上がる。
「落ち着いて対処すれば負けん。こうして撃墜数を増やしていけば、次第にジリ貧になって島を放棄するハズだ…」

「敵、M1.0で急速接近中。会敵は3分後」
「いいか、撃墜するより被弾しない事を優先しろ。貴重なゾイドを沈める事は許さん」
今やデスザウラーが共和国首都を攻略。中央大陸のほとんどは帝国の支配下にある。
そんな中、ゲリラ戦で挑む共和国軍にとって最大の問題はゾイド不足であり、特にウルトラザウルスは最も貴重な存在なのである。

「中将、レドラーだが何かおかしい。半分くらい、やけにデカい爆弾だか魚雷だかを翼にぶら下げてる」
「何だと?一撃必殺の決戦兵器ってか…。何だかわからねえが、そんなにデカいもん積んでたら運動性能はガタ落ちの筈だ。ひるむな」

やがて爆音が響き始めた。もはやレーダーに頼るまでもなく、直接視認できる。
「対空砲火、撃ち方よーい」
レドラーが急降下爆撃の体制に入ったら、すぐさま対空砲火の嵐を見舞う。
しかしまさに対空砲火が撃たれるその直前、レドラーが動いた。
「敵、大型爆弾を射出! なんだこれは!?」

一斉に放たれたそれは、ウルトラザウルスを大きく逸れ、急角度で海に突っ込んでいった。
「なんだ…? 思ったより早く撃たれてびびったが……、失敗作か…?」
いやしかし次の瞬間、一隻のバリゲーターから大きな火柱が上がった。
無残に右後脚を吹き飛ばされ、機体は完全に横転している。

「何が起こっている!?」
続けざまにウルトラザウルスからも火柱。
「水の中に敵が居るのか!? ソナーはどうなってる!?」

「感なし! ウオディックもシンカーも居ません!」
共和国軍は、少し前に対潜用の新型ソナーを開発したばかりであった。
これはウオディックやシンカーが深く潜っても正確に捉えられる画期的なものであり、それを搭載して以降、ウルトラザウルスは再び海での最強の座を取り戻したのである。
しかし今、ウルトラザウルスは謎の攻撃を受けていた。

ドォォォォォォ…
再びバリゲーターが火花を上げ沈んでいく。
「中将、海面を! あれだ!!」
その時、クルーが謎の敵を遂に見つけた。
水中から背びれだけを出して、超小型のサメ型ゾイドが高速で走り回っていたのだ。

「大型爆弾なんかじゃない。敵が投下したのは小型ゾイドだったんだ!」
レドラーは翼下にヘルダイバーを吊下しウルトラザウルスに接敵。そこから射出し突入させたのである。
あまりにも小さく軽快すぎるので、レーダーで補足出来ない。
「くそっ、ちょこまかと!」
一発一発は大した事ない。これだけでウルトラザウルスが沈む事はない。
だが、こちらは一切の攻撃があたらない。悪戯に被弾だけが増えていった。

「中将! 残りのレドラーが来る!」
ヘルダイバーを搭載していなかった…、いつもどおりの対艦ミサイルを装備した攻撃機型レドラーが、混乱する共和国艦隊に突っ込んでくる。
「くそっ、対空砲火、撃て!」
だが今やヘルダイバーによって半数のバリゲーターが沈められている。
また対空砲火を撃つ中も、容赦なくヘルダイバーの魚雷がウルトラの巨体を揺らす。
「くそっ! 艦が揺れて照準が付けられねぇ…!」

海戦は、激しさを増していった。
ヘルダイバー初陣の日。この戦闘で、実に8隻のバリゲーターと3隻のウルトラザウルスが海の藻屑と消えたのであった。

ヘルダイバー。
レドラーの翼下に搭載され、海上から射出される。
海面に突入後、小型高機動の特性を活かし、共和国艦隊を翻弄する。
単体では搭載量・航続距離が少なく、広大な海では使用しづらいし決定打足り得ない。
だがこの機体はサメ型という特性を活かし、空中から射出後、そのまま海に突入できる能力を付加できた。
それにより、高空ゾイドに搭載される事で諸々の弱点をカバー。海戦で大きな威力を発揮する事となったのである。

射出された後、海へ向け一直線に突っ込む様は、まさにヘルダイバーという名に相応しい。

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という感じで、「ヘルダイバー」という名前からして「急降下アタックを空からかける」所は残したいし、でも「浮ける」「滑空できる程度」の能力でいい気もするし、という事で妄想してみました。
書いてて、自分の中のヘルダイバーはこれでいいかなと思い至りました。

なんにせヘルダイバー大好き。

コラム更新

コラム更新しました。こちら

数日前にブログで書いていた文章に、加筆&画像の追加を行って構成しました。
第二期、本当に期待しています。
何とか・・・何とかやって欲しいです。

MSSの公式ページですが、今後の新製品のところが「※MSSゾイド第二期シリーズの開始は未定です」となっており、ここにかすかな希望を抱いています。
すなわち終わった=放置ではない。

ゾイドオリジナル公式なんて、いまだに「※「ZOIDS ORIGINAL」は、タカラトミー公式ショッピングサイトと、その他別企画の販売方法および販売所によって販売される予定です。」なんて開始前の文が残ってたりするから…。


今回更新したコラムと、そのまえの2つ(ゾイドオリジナルを振り返るとMSS休止で思った事)は、あわせて一つというか、連続して書いた文章です。
長すぎるので3つに分割しただけで。

なんていうか何度も何度も失望しつつそれでも捨てきれない自分を良く表しているなぁと思ったりします。
が、本気で期待しています。

秘めたる記録 -STORCH-のこと

先の記事で書いたSS秘めたる記録 -STORCH-のこと。

シュトルヒには個人的に「絶対制空権奪取の任務を帯びながらついにそれをかなえる事はなかった」という悲劇性に強く惹かれるところがあります。
エレファンダーにも通じる悲劇性の強い機体にはドラマを感じる…。
なので「中央大陸戦争当時からプテラスを遥かに上回る性能だった」という新世紀版の設定に馴染めなかったりします。

だがネオゼネバスは、初代皇帝親衛隊所属気であり皇帝を救ったという名誉ある機体であるシュトルヒを、戦意高揚の意味も込めてどうしても使いたかった。
その熱意の元改良に励み、ZAC2100年代の最新技術でシュトルヒを魔改造。ついに大幅なパワーアップ(サーベル→セイバーのように)を果たし戦場に蘇った とかすれば良かったのになぁと思ったりします。

SSに関してはメッサーシュミットMe262シュヴァルベ のイメージを重ねつつ書きました。

秘めたる記録 -STORCH-

幾多の戦場を潜り抜けてきたが、真赤な鳥、シュトルヒは思い出深い。
この機は、出会いも戦いも、全て特別なものばかりだった。


秘めたる記録 -STORCH-


その日はうだるように暑い日だった。
残暑という言葉ではとても納得できない、真夏が戻ってきたような暑苦しい日だった。
午後の訓練の合間、滑走路脇の木陰に倒れこんだ。
さっきまで激しい機動を繰り返していた疲れは酷い。そこにこの暑さ。
「いいかげん沈めよ…」
燃え盛る太陽を苦々しく見た。

俺と入れ替わりの奴らが、訓練に入ってゆくのが見えた。
さっきまで俺が乗っていたシンカーに乗り、滑走路を走り始めた。
目の前を、ジェットエンジンの激しくも熱い風を起こしながらシンカーが抜けていった。
「あいつにも休憩時間くらいやったらいいのにな…」
ようやく離陸したシンカーが上昇に入っている。
それを見て俺はつぶやいた。

プテラスは強敵だった。速力も運動性も限界高度も、全て桁違いだった。
シンカーが勝るのは、防御力とロケットブースターを使用したときの瞬間的な加速力くらいだった。
それでも戦う事は必須。機体性能の差を何とか克服すべく、戦術の研究と技量の向上に務めた。
だが俺たちが今ひとつ乗り気になれなかったのは、やはりシンカーでは勝てない事が分かりきっていたからだ。

制空権は必須だ。
それでも、海側の部隊は機体特性を活かしよく抗した。
だが内陸の水の無いところで戦う部隊は悲惨だった。
そして近年は、敵に新型巨大水陸両用ゾイドが登場し、海側のシンカー部隊をも、危機におとしめた。

心なしか、上空で訓練するシンカーも、今ひとつ動きにキレが無いように思えた。
休憩時間はあと20分。
俺は少し寝ておこうと、目を閉じた。
だがその瞬間、俺は違和感を感じて飛び起きた。
「異音………」

上空で訓練するシンカーの轟音。
それとは別に、飛行する何かの音が聞こえた。
「高度6000、2機……」
ある程度の期間を経たパイロットなら、上空で飛ぶ航空機の高度や機数、サイズなど聞き分ける事が出来るようになる。

「レーダーはどうなっている!?」
目の前を数人の兵が走りぬけた。
やはり俺の聞き間違いではない…!
敵か? 味方か?

その音はジェットエンジンやロケットエンジンのようなうるさい音ではなかった。
マグネッサーシステムを使用した特有の優雅な音だ。
「プテラスか?」
いや、しかしプテラスの音とは少し違う感じがした。

俺はさっき走っていった兵たち…、滑走路の端で音の方を見上げていた…、と合流した。
「上空のシンカー、感あるか?」 シンカーと交信している。
「現在探査中……、あった!感あり。小型2機、高度6000でこちらに接近中」
不測の事態に備え、訓練とはいえ模擬弾ではなく実弾が装填されている。
緊張が走った。
だが同時に、基地中にスピーカーの音が鳴り響いた。
「基地総員に告ぐ。現在、友軍機2が当基地に接近中。繰り返す、友軍機2が当基地に接近中。通信・誘導員を除く総員は滑走路に整列し出迎えよ。訓練中のシンカーは友軍機に接近し基地までエスコートせよ」

友軍!?
マグネッサーシステムだけで飛ぶ新型友軍機がこの基地に来るというのか!?

戦況が差し迫る中、中央は「状況を一変させる画期的新型機開発中」を盛んに宣伝していた。
誰しもがそれを想像し、しかし半ば諦めたような、しかしどこかで捨てきれない期待を持ち続けて…、そんな気持ちでいた。
それが今、目の前に来ていた。

「来たぞ!」
思わず叫ぶ。
先導するシンカーの後ろに、スマートなフォルムの真赤な鳥型ゾイドが見えた。
先に着陸したのはシンカー。ランディングギアを出し、滑走路に舞い降てくる。
長い滑走距離を使い、シンカーはようやく停止した。
続けて着陸する新型機。
俺は、いや基地の誰もが、その着陸姿に度肝を抜かれた。
ゆっくりと降下ししてきた新型機は、フワリという言葉が似合う優雅な羽ばたきをしたかと思うと、そのまま着陸を完了した。
「スゲェ…、垂直に着陸しちまったぞ」
「離陸も滑走なしで出来るのか?」
ザワついた声が聞こえた。
2機目も優雅に舞い降りるに至り、出迎えた基地隊員たちは、誰からとも無く一斉に拍手を送ったのだった。

EMZ-028シュトルヒ。
通追うが戦況を一変させると謳った新鋭機。
その最初の出会いは衝撃的で、今も鮮明に覚えている。

シュトルヒは帝国軍が始めて完成させた超音速戦闘機である。
言うまでも無く対プテラス用であり、M2.1の快速を誇り、ビーム砲、一撃必殺のSAMバードミサイルの強力武装を備えていた。
カタログスペック上はプテラスと互角、あるいは優勢に戦えるはずであった。
しかしシュトルヒの不幸は、完成に時間がかかりすぎた事であろう。

本来、もっと早期に登場し、制空権を奪い返す算であった。
だが超音速機であるとかマグネッサーウイングであるとか、あまりにも初めて尽くしの機体であった。
開発はずれ込み、その間、帝国領土は奪われていった。
実のところ…、戦場に登場したのはZAC2039年であるが、この時は未完成といえるものであった。
最低でもあと1年は、成熟期間が必要であった。
機体の設計には、量産機としてはいかにも無理のある箇所が多かった。
あの日、突然基地に飛来した2機のシュトルヒも、実は首都に行く予定だったが途中でトラブルが発生し、急遽近場の基地に降りただけというものだった。

機械的なトラブルは多く、操縦には何かと制限が多く、また複雑であった。
本来、これらは成熟期間を経て解決されるものであった。
そうしてから量産し戦場に出すべきであった。
だが不幸な事に戦況はそれを許さず、そのまま未成熟な状態で量産し戦わせる他なかったのである。

もしこの機体を使いこなすなら、それこそ機体特性や操縦技術を、たっぷりと時間をかけて叩き込み、そうしてから戦場に出るべきであった。
無論、そんな時間などある筈はなく、最低限の訓練のみで多くのパイロットが飛び立ち、そして散っていった。

だがシュトルヒの秘めた能力に惚れ込み、熱狂的に打ち込んだパイロットも居た。
それら熱狂的なシュトルヒ乗りは、圧倒的物量で迫る共和国軍に果敢に挑み、鮮やかな風穴を開けて見せた。
また親衛隊のエースは、首都陥落時に皇帝を逃がす大活躍をみせた。

暗黒大陸への亡命後は、シュトルヒに成熟期間を与える絶好の期間であった。
しかし暗黒大陸特有のドラゴン型野生体を譲り受けた開発部は、これを使用すればプテラスと互角どころか圧倒するゾイドを開発できる可能性を感じ、それに注力する決断を下した。
ついにシュトルヒは、本格的な改良を施される事がなく、その秘めた真の実力を開放する事がないまま二線級機になったのである。

傑作機とは言いがたい、何とも不運な機体であろう。だがその未完成の名機ゆえに、熱狂的なマニアを生んだのも確かであった。
気難しい機体を乗りこなし、自分の手足のように扱い空を駆る。それに喜びを感じ、そしてそれを誇った者達である。

真赤な鳥、シュトルヒは、誇り高いゾイドであった。
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