ゴジュラスはどこまでゴジラ型か

今回は多分、禁断のネタだと思います。
ずっと以下の議題はコラムにしたかったんですが、なかなかまとまらないのでブログで下書きします。


扱う機体はこいつ。


RBOZ-003ゴジュラス
メカ生体ゾイド時代はゾイドゴジュラスとも呼ばれ、どちらかというとこちらの方が使用頻度が高かったように思います。

さてゾイドゴジュラスです。
ゾイドが大人気を得たきっかけとなった機体です。
この機体をきっかけに、各メディアへの露出が一気に増えました。
そういった意味からも、ゾイドの名を冠するに相応しい存在だと思います。

1984年4月発売。
当時としては最大最強ゾイドであり、また価格的にも最高値で登場したゾイドですが(ゴジュラスは定価3800円。次点のゾイドマンモスは3000円)、クリスマス商戦のタイミングではなく、春に早々出ているのは意外な事です。
むしろこの年、クリスマス商戦投入のタイミングで発売されているのはレッドホーンだったりします。
余談ながら、85年発売のアイアンコングは、ちゃんとクリスマス商戦投入のタイミングで発売されています。

さてゴジュラスですが、某東宝の怪獣…というかまぁゴジラですが。言っちゃおう。
と、深い因縁をもって語られる機体でもあります。
そう、曰くゴジラ型である。
一応、箱の表記は「恐竜型」となっていますが。


ゴジラ。


画像は初代ゴジラのポスターより。
1954年に初代映画が放映されるや大人気を呼び、以降数多くのシリーズが生まれています。
言うまでも無く東宝…、というか日本を代表する大怪獣。
日本は勿論の事、海外にも熱狂的マニアを多く持ちます。

さてぶっちゃけ、ゴジュラスがゴジラ型である事は否定できない部分も多いと思います。
ネーミングと背ビレは言い訳が出来ない。

しかしながら、直立である事も、ゴジラ型である事の根拠として語られる事がありますが、これは正鵠を得ているとはいい難い。
何故ならゴジュラスが発売された84年といえば、図鑑に載っている恐竜の姿なんてこんなものです。


まさに直立。

というか、ゴジラも設定上、「恐竜の生き残りが核実験の影響で巨大化したもの」であり、そのモデルは肉食恐竜であります。
そして1954年といえば、当然、恐竜の復元図は直立だった。
ゴジラが直立であるのは、当時の恐竜の復元図が直立だったからであります(加え、スーツアクターが中に入るからでもあるだろうけど)。


そう、1990年ごろまで、恐竜の復元図は、一部先進的なものを除き、全て直立だった。
首長竜の首は天に向かって伸びていた。
ブラキオサウルスは水の中で生活していた。
図鑑も学年誌など少年が読む児童書も。
今、「古い」とされる全てが、当時は常識だった。
この点は理解し押さえるべきであります。



今の学説であるところの前傾姿勢の恐竜が一般に浸透し、また図鑑の挿絵も改定されたのは、1993年に公開され大ヒットしたジュラシックパークの影響が大であります。
もしかして同映画が無ければ、今でも図鑑の恐竜の絵は直立と前傾が混在しているかもしれない。

前傾姿勢の恐竜は、既に80年代から学会では発表されていました。
そして学会では圧倒的な支持を得ていた。
何故なら、心臓の位置から計算し、巨大な恐竜が直立姿勢をしていたら、血液が頭まで循環しない事が判明した。
更に、恐竜の足跡は見つかるのに、尻尾を引きずった跡は見つからない。
こうなると、自然に恐竜の形が改定され見えてくる。
つまり頭はもっと低くしていたのだろう。そして尾は上げていたのだろう。
そう、前傾姿勢です。


しかしながら既に世間では「恐竜=直立」という常識が確立されていたので、一部先見的な書籍を除き、この説はなかなか浸透しなかった。
直立恐竜が使われ続けた。
学会で明らかにそうであると証明された事であっても、それが一般に浸透するには非常に長い年月を要します。
ジュラシックパークという超々大ヒット映画がポンと出て、一気に恐竜の新説が広がったのはむしろ例外的と言えると思います。


これは80年代の学年誌より抜粋。
珍しく前傾姿勢の絵が載っていますが、他ページにはやはり直立恐竜の資料も載っており、そちらの方が比率が高かったりします。


そうやはり、この時代は徐々に前傾姿勢が浸透する草創期にあったものの、まだまだ直立が常識だった。

そんなわけで、84年にリリースされたゴジュラスが直立をしているのは当たり前の事です。
その点は強く訴えたいところであります。

さて直立=ゴジラ型ではない説を唱えたところで、もう一つ。

実はネーミングと背ビレ以外にも、ゴジュラスがゴジラを意識していると思われる所があります。
それは1984年という発売のタイミングです。

ゴジラは1954年に初代映画が放映され大ヒットを記録しました。
当然、続編が作られる。
当初は悪役であり核兵器の恐怖を代弁していたゴジラは、やがてキングギドラなど更なる悪役が出現するに至り人類の味方に立場を変えます。
造形もこの頃変わり、目が随分大きくなって愛嬌多く、キャラクターっぽくなっています。


この画像は75年公開の「メカゴジラの逆襲」より。

さてゴジラ映画ですが、年々、初期作のようなヒールさが失せ、いつしか人類の味方。
しまいに少年の「助けてゴジラ!」の声に反応し現場に駆けつけるシーンまで作られる始末。
それはそれで少年達の歓迎を受ける一方、初期作からのファンにとっては違和感・失望感が増えていくものでもありました。
その影響で、興行収入はシリーズを重ねるたびに減っていく一方。
ここへきて、54年から続いたゴジラシリーズは、74年の「メカゴジラの逆襲」をもって、いったん打ち切りとなります。

しかしゴジラに失望した大人は勝手なもので、「最近のゴジラはダメだ。もう行かない」と言っていたのに、いざシリーズが終わってしまうと寂しい。
シリーズ打ち切りから数年、各地でゴジラ復活を望む声が高まってきます。
79年には、一度、ゴジラ復活の企画が東宝社内で出ますが、紆余曲折へて結局頓挫。
この件もあり、ゴジラ復活を望む声は、80年代初頭にはいよいよ最高潮になってきました。

各地では過去のゴジラ映画をリバイバル上映し、往年のファンだけでなく新規ファンも順調に開拓されてゆき、いよいよゴジラは復活に向け、具体的に始動します。
この頃の少年に人気のあった怪獣は、もちろんゴジラ。そしてキングギドラ。そしてメカゴジラ。


メカゴジラ。
ブラックホール第三惑星人が制作した、ゴジラを模した戦闘兵器。
スペースビーム、フィンガーミサイル、デスファイヤーなど多彩な火器を搭載。
いずれもゴジラに大ダメージを与える。
またディフェンスネオバリヤーを機体周囲に展開出来、これはゴジラの熱線を完全に無効化する。
ロケット噴射で飛行も可能。速度は不明ながら劇中ではかなり速い印象を受ける。
なお画像は若干の改修が施されたメカゴジラ2

このメカゴジラが当時大人気でありました。
それはもう二作目から出ていてゴジラの相棒として名高いアンギラスや、単独で主役映画が作られているラドンを差し置いて。

そう、84年4月に発売されたゾイドゴジュラスは、世の中のゴジラブームを的確に読み、そしてメカゴジラの人気を上手く分析してリリースされたのではないかと思います。
そういう意味では、上手くゴジラブームを利用してリリースされた機体だと思います。

ちなみにゾイドゴジュラスの発売から遅れること半年と少し。84年年末に、本家ゴジラ映画も、復活を果たしています。
ゾイドゴジュラスとゴジラの関係は、ざっとこういう感じに感じます。


さて次は細かく造形面を考えてみたいと思います。

まず頭部。


全体のバランスを考えると、ゴジラは非常にスマートで小型の顔をしているのに対し、ゴジュラスはかなり頭でっかち。


このサイズは、どちらかというとティラノサウルスのバランスに近いです。

サイズはさておき形を見てみよう。
というか、まぁゴジラ自体がティラノサウルスをモデルにしているから、ゴジュラスの頭の形はティラノサウルにもゴジラにも似ている。
当然といえます。
ただ目の位置だけは特徴的で、ティラノの目は側面に近い位置に付いているのに対し、ゴジラの目は正面に近い位置に付いている。
目の位置で考えるなら、ゴジュラスはゴジラ的な造形だと思います。
頭部をまとめると、大きさはティラノサウル的。造形はゴジラ的だと思います。


胴体は何とも言いようが無い。というか胴体はティラノサウルスもゴジラもそんなに差が無い。


次に腕部。


腕の造形はティラノにもゴジラにも似ていない。
というのもティラノは2本指。ゴジラは4本指。そしてゴジュラスは3本指。
いや、アロサウルスが3本指だからアロサウルスを引き合いに出すべきか。
ただ形状的にはティラノに近いかと思います。
ゴジュラスの3本目の指は、受け皿のようなものなので、本来目指していたのはティラノのような二本指と考えるべきなのだと思います。
ただそうすると何かを掴む事に対し難しい形状になってしまう。
そこでの処理だと思います。

ただ大きさのバランスは、ティラノよりかなり大きい。とはいえゴジラよりは小さい。
大きさはどっちつかずと考えるべきか…。
ただ設定上、ゴジュラスの格闘能力は超絶で、腕の力も超絶。
なにせ90t以上もあるレッドホーンの突撃を左腕一本だけで受け止め投げ飛ばす。
ティラノの腕はせいぜい殺した獲物を押さえる事に使用されたと考えられており、対しゴジラの腕は格闘戦で強力な武器として機能し、相手を投げ飛ばすなどしています。

腕部をまとめると、造形ティラノサウル的。機能面はゴジラ的かと思います。


後脚や尾は、ティラノもゴジラも大差ないので、胴体と同じく略。


背ビレ。


よくゴジラ型の最大の根拠として語られるのが、この背ビレ。
ただし、細かく見ると差がないわけでもない。
ゴジラの背ビレは3列。中央に大きいのがあり、その左右に小型のがあります。
ゴジュラスのは中央に一列のみ。
むしろゴジラの並びは、後のギガに近いか…。

さて背ビレ。これは言い訳できない。
とはいえ、一応、こういう事実もありますというのを下記します。


ティラノサウルスですが、背中部分を拡大した画像が下


一部の図鑑や雑誌の挿絵では、なぜだかティラノだけでなく、ほぼ全恐竜に対してですが…、このような背ビレを付けて描かれている事があります。
なぜこういう背ビレが描かれたかは謎ですが(イグアナなどの影響かもしれない)、ともかくそういう挿絵があったのです。


ちなみにイグアナの背ビレはこちら。

そして単純に、背ビレは何だかあった方がカッコいい。
その為、当時の少年は、私も含めですが…、恐竜の絵を描く時に背ビレも描いている場合が多かった。
その程度には浸透している記号だった。

ゴジラの背ビレは、これを発展したデザインであると思います。
ゴジュラスの背ビレは、まぁゴジラではあるのだけども、同時に恐竜の背ビレ付きの復元図を誇張して生まれたもの、とも言えるのではないかと思います。
ちなみに機能的な面で言えば、ゴジラは背ビレを妖しく発光させ熱線を口から吐きますが、ゴジュラスの背ビレはレーダー。そして口からは何も吐かない。

以上をまとめるに、ゴジュラスはやはり多分にゴジラ要素はある。
ただ一般に言われているようにゴジラのみがモチーフなのではなく、ティラノサウルス要素も少なくとも半分は入っていると思います。

特に頭部の大きさのバランス。
相手に噛み付く野性的な戦法。
逆に、ゴジラ最大の特徴であるところの熱線は吐かないし。
そう、けっこうゴジュラスはティラノサウルスだと思います。

例えばジェノザウラー。
彼がティラノっぽいのは前傾姿勢…の他は何だ。
前脚はティラノにしては大きい。指は3本ある(とはいえ二本に見せようとはしているが)。
頭部はティラノというには小さすぎる。

後発のバーサークフューラーはある程度ティラノだと思います。
特に前脚はかなりティラノっぽい。
とはいえやはり子顔は…。

個人的に、ジェノやフューラーが前傾姿勢だ!凄い!まさにティラノともてはやされる一方、ゴジュラスがゴジラだと言われ続けているのは不憫だと感じてしまいます。
「そのゾイドが登場した時期の一般的見解で言う所のティラノサウルス」に近い形をしているかという意味では、ゴジュラスの方がティラノなんじゃないかなぁと思ったりもします。
まぁ2000年。ジェノが登場したタイミングでの話をするなら、ジェノは初の前傾姿勢を再現した肉食獣型ゾイドとして誕生した。
その要素はインパクト抜群で、造形面で多少ティラノ型じゃなくてもティラノ型と言い張れるだけの要素だったんだろうなぁとは思います。


さてさて、非常に長くなってきましたので続きは次回に。
たまにはこういう議論も楽しいのではないかなと思います。
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