ホエールカイザーの戦歴の謎

メカ生体ゾイド史上、最大といえばキングゴジュラスではなく、それはホエールカイザーになろう。
唯一、匹敵するゾイドが居るとすれば、撃墜したホエールカイザーを参考に造られたタートルシップだろう。
ただ、輸送力はホエールカイザーが上であると思う。
箱型で貨物積載に適した形をしたホエールカイザーに対し、タートルシップは円形で貨物積載に最適とは言いがたいように見える。
何故このような姿になったのだろう…というのは興味深い問題ではあるが、今回は話が逸れるので次に譲りたい。



さてホエールカイザー。
このゾイドは、それこそ未キット化が惜しくてペーパークラフトで作ってしまう程思い入れがあるゾイドとして、私の中に在る。
その理由を考えると、私のゾイドに入った時期と関わりがあるように思える。

デスザウラー最強時代にゾイドに入った私にとって、その攻略こそは最大の課題だった。
そしてそれが成されたのがマッドサンダー。
それをきっかけに共和国は順調に進撃を続け、ついに帝国首都も制圧した。
無事に戦争は終わるかに思えた。

そこに出現した暗黒軍は、青天の霹靂だった。
あのマッドサンダーを大苦戦させるデッド・ボーダー。弱小レッドホーンは超強力な重戦車に生まれ変わった。
そして、未知の巨大輸送艦ホエールカイザーは、宿敵ゼネバス帝国のゾイドを不気味に吸収し、消えていった。



あまりに巨大なホエールカイザーを前に、大きすぎて何も反応できなかった。
デスザウラーさえ軽々と飲み込む姿は唖然とする他なかった。


ホエールカイザーは、ニカイドス島攻防戦より10年前のD-DAY上陸作戦(商品展開的に言うと2年前)で初めて姿を現したゾイドである。
ただ、その頃私はまだゾイドに触れていなかったので、リアルタイムでそれを知る事はなかった。
知ったのは、ガンブラスターがリリースされた頃…、ゾイドバトルストーリー1~3巻を購入してもらった事によってだった。
この時初めて、「D-DAY上陸作戦…、帝国の逆襲時にも、ホエールカイザーが使用されていたんだ」と、知った。

さてここで疑問が生じた。
暗黒軍の参戦時、共和国軍はホエールカイザーの巨躯に大きな衝撃を受けたような描写があった。
「10年前にもホエールカイザーは出現してるのに、なんで今更?」
と、当時思った。

新ゾイドバトルストーリー(暗黒軍参戦以降)において、以下の文がある。
それは共和国軍がホエールカイザーを撃墜し、その情報が共和国の手に入った部分で、
「撃墜した暗黒軍輸送船ホエールカイザーから、共和国軍は暗黒軍に関する様々な情報を得た。暗黒軍の恐るべき技術力と、共和国には無い巨大輸送船の可能性。それらは対暗黒軍との戦いに備え、さっそく優秀な科学者たちの手にゆだねられた」
とある。
やはりこのクラスの巨大輸送船を初めて見たような反応。

当時は特に深く考えずに過ごしていた。
というか、それよりも、ゾイドの各機や、共和国軍が苦戦しながらも暗黒軍と戦い続ける姿に夢中だった。

しかし今再びゾイドバトルストーリーを読み返すと、どうしても隅において置けない点だと思ってしまう。
そこで今回は、これを考えてみたい。
また、ホエールカイザーのペパクラ製作のページでも触れたが、ホエールカイザーは二種類のものが存在する。



左はゾイドグラフィックス版で、右がゾイドバトルストーリー版。
この点も、あわせて、今一度深く考えたい。


さて、何で二度目の出現でも驚いたのだろう。
まさか10年経ってホエールカイザーを忘れたわけでもあるまい。
というか、忘れていたにしても、帝国軍は、D-DAY上陸作戦以降、ホエールカイザーの運用をやめていたのだろうか?
だとすれば何故。


ホエールカイザーは、D-DAY上陸作戦最大の功労者だと思う。
確かにウオディックもディメトロドンも素晴らしい。
だがウオディックはウルトラザウルスの海洋での運用を制限するには十二分の働きを示しただろうが、大陸内部での戦いにはあまり意味を成さない。
むしろ海での運用が制限された分、ウルトラザウルスは陸で運用され、共和国の陸戦力を高めたとすら思う。
ディメトロドンはその能力によって素晴らしい効果を発揮しただろう。ただそれも、適切な味方部隊と共に適所に配してこそだろう。

D-DAY上陸作戦からわずか半年で、帝国軍は中央大陸の西半分を制圧した。
帝国軍の戦力を考えると、たしかに強力だが数の上では共和国軍を上回っていたとは考えにくい。
むしろ大きく劣っていたと考えるのが普通だと思う。
共和国軍が平和に腑抜けていたとしても、単純に「劣勢」であったと思う。

にも拘らず、倍する敵(しかも最強のウルトラザウルスを含む)を相手にこれだけの短期間でこれだけの戦果を挙げたのは凄い。
それはやはり、適切な兵力を適切な位置に迅速に送り込むホエールカイザーの功績だったと思う。



これだけの大戦果の立役者・ホエールカイザーは、不思議なことにこれ以降姿を消す事になる。
少なくとも、バトルストーリーにおいては描かれる事はなくなった。

何故。


ここで大胆な説を唱えてみたい。
もしかして、ホエールカイザーは暗黒軍からレンタルしていたのでは?という説を思いついた。
そしてそのレンタル期間が半年となっていたのではないか、と。

ともかく、そうすれば出てこない事に関しては説明がつくと思う。

ちなみに「兵器のレンタルというのは有り得る話なのか」というと、無いわけではない。
地球の例で考えてみよう。
第一次大戦時に日本とイギリスは同盟国だった。
そして大戦中、自軍兵力では戦場を支えきれなくなってきたイギリスは、日本に対し「戦艦金剛とその姉妹艦あわせて4隻を貸してくれ」と打診している。
最終的には日本はこの打診を断ってしまったものの、これは実現の可能性も高い案件だった。


帝国軍が、バレシア湾撤退作戦で、暗黒大陸へ亡命した戦いを見直してみよう。
持ち出したゾイドはシンカーのみ(ちなみに漫画・ゾイドバトルコミックでは大型シンカーとして描かれている)で、人員はともかくゾイドは全く輸送できていない。

にもかかわらず、D-DAY上陸作戦では、膨大な数の帝国ゾイドが、ホエールカイザーによって空輸されている。
という事は、これらは「暗黒大陸で新造された帝国ゾイド」という事になるだろう。
しかしはたして、いくらゼネバスが天才的な指導力を発揮したとしても、わずか2年たらずで慣れぬ地でゾイドを大増産し、そのうえ未曾有の巨大輸送艦まで製造できるものだろうかと思う。
※ただ、撤退時に「中央大陸各地の秘密の地下基地に帝国ゾイドを隠してきた」、という資料はある。「D-DAY上陸作戦成功後、そのゾイドを使用した」とも。ただ、それにしても、上陸作戦自体に使用されたゾイドは、暗黒大陸で新造されたものと考えるべきだろう。

そう考えると、レンタル説が真実味を帯びてくるのではないかと思う。

ホエールカイザーのレンタル期間は半年だった。
その戦略的意義が活かせる期間に全てを賭け、ゼネバスは中央大陸での戦いに挑んだ、と。

ZAC2041年のD-DAY上陸作戦以降、わずか半年で大陸の西半分を制覇した帝国軍は、この後極端にその勢いを失っている。
この後、デスザウラーが投入されるZAC2044年までの3年間、戦場の両国支配域のマップはほとんど変らない状態だった。
「帝国の補給の限界」「中央山脈の存在」「共和国のアタックゾイドやシールドライガーの活躍」様々な要因があったとは思うが、それにしてもあの勢いはどうした?と思わずには居れない。
やはりこれも、ホエールカイザーの運用が終了したから、と考えてみてはどうかと思う。


まとめよう。
ここでは、ホエールカイザーは、「D-DAY上陸作戦から半年間の期間限定で暗黒軍からレンタルされていた」と考えたい。
期間を過ぎたホエールカイザーは、順次暗黒大陸へ返却されていった…。それゆえ、以降の帝国軍は勢いを落すこととなった、と。


しかし、これでも疑問は解消されきっていない。
レンタル説が正しかったとしても、暗黒軍参戦時のホエールカイザー出現に対し、共和国軍は驚きすぎだと思う。
まさか本気で忘れていたわけではないだろうから。

ここでは、新たに説を唱えてみたい。
ホエールカイザーは、実は二種類あるのではないか?と。
無論、それはこの二種類。



ゾイドグラフィックス版のホエールカイザーであるが、ゾイドグラフィックスに解説が載っている。


「帝国軍が開発した」とハッキリある。
この文は正しいと捉えたい。
また、先に出したレンタル説も正しいとしたい。
ならば、「二種類のホエールカイザー…、すなわち暗黒軍製ホエールカイザーと帝国軍製ホエールカイザーがある」と捉えるに至る。

こう捉えるに至った理由は他にもある。
ゾイドグラフィックス版のホエールカイザーは、解説にこうある。
「一隻でディメトロドンを3機、完全武装の兵士300名を運ぶことが出来る」
ディメトロドンは「大型ゾイド」と置き換えて良いかと思う。
ただ、この説明は、ゾイドバトルストーリーの写真と照らし合わせると、かなりの疑問でもある。



この写真で明らかだろう。
手前の海岸線に、アイアンコング、レッドホーンなど帝国大型ゾイドがズラリ集結している。

…少し分かりにくいで部分拡大したものも。


そしてその後方にホエールカイザーの圧倒的巨体が写っている。
遠くに居るホエールカイザーは遠近法により実際より小さく見えるはずなのに、この巨体。
アイアンコングを3機どころか数十機ほど飲み込めそうに見える。

一方、ゾイドグラフィックスに写されたホエールカイザーは、機体との比較で、ほぼ「一隻でディメトロドンを3機、完全武装の兵士300名を運ぶことが出来る」のスケールである事も分かる。



以上の説をまとめて、私なりに導き出した結論としては以下の様になる。

■ホエールカイザーには暗黒軍製ホエールカイザーと帝国軍製ホエールカイザーがある。
■暗黒軍製ホエールカイザーは超超巨大で、大型ゾイド数十機を楽に輸送できる規模。
■暗黒軍製ホエールカイザーは半年の期限付きで帝国にレンタルされた。期限を過ぎたものは順次暗黒大陸へ返却された。
■帝国軍製ホエールカイザーは、超巨大ではあるが大型ゾイド3機が積載限界。

加えると、
■帝国は、当初は国のプライドもあり、巨大輸送艦も自軍で開発しようとした。だが要求を満たすものは遂に出来ず、暗黒軍からレンタルする事になった。
というように考えても良いと思う。
つまり帝国製のホエールカイザーはそういう産物である、と。

そして、半年の猛攻の後、暗黒軍製ホエールカイザーは、共和国に詳細を掴まれる事がないまま、突如姿を消した。
ただ、帝国製ホエールカイザーは当然ながら運用され続ける。
そのうち、撃墜されるものも出てきただろう。
それを解析した共和国軍は思う。
なるほど、これがD-DAY時に活躍した巨大輸送艦か。思ったよりは小さいな…。
かくして中央大陸戦役時には、暗黒軍製ホエールカイザーの全容は掴まれることがないどころか、過小な評価だけが残った…。


なおゾイドグラフィックス版のホエールカイザーは、テレビCMにも登場している。
これはお遊びな考えであるけども、テレビCMの映像を、「帝国軍が国民向けに作った戦記高揚PV」と捉えても良いと思う。
だからこそあえて、帝国製を写している。
しかしゾイドバトルストーリーは、共和国のカメラマンを中心に撮影されている(作者が共和国側の退役軍人)ので、暗黒軍製のものが撮影出来たのではないか、など考えても面白いと思う。

なお「ホエールカイザー」という名前がだぶっている点に違和感を覚えるのも事実であるが、名前がかぶる事は特に珍しくは無い。
第二次大戦中、旧日本軍には「雷電」という戦闘機があり、米軍は「サンダーボルト」という戦闘機を運用していた。サンダーボルトは日本語に直すと「雷電」
どちらの戦闘機も、「頑丈で大火力、また上昇力と急降下性能に優れるが、運動性は良くなく、離着陸性能に難のある機体」だった事を加えたい。


子供の頃疑問に思ったホエールカイザーの戦歴も、このように想像すると非常に奥深く面白いと思う。
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