並行世界

例えばガンダムは各シリーズが別の世界だから、扱いにバラつきがあっても許されるのだろうけど、ゾイドの場合は同一世界であるように描くから問題が生じていると思う。

ゾイド星の戦史研究家として活動していると、色々思う事の一つが、ゾイドの設定や描写の様々な矛盾だったりする。
その辺はいずれDatebaseのHistoryやStoryの欄で詳しく紹介せねばならんと思っている…が、なかなか追いついてなくて申し訳ない限り。
今回は現時点で思うことを一旦まとめた文章を投下します。


メカ生体ゾイドのストーリー展開で最もメジャーなものと言えば、おそらく小学館スペシャル・ゾイドバトルストーリーであろう。
さて、ゾイドのストーリーにおいて、多くのユーザーが驚くであろう事を挙げてみたい。

・初期の頃、ゴジュラスを擁する共和国軍は、レッドホーンしか
 大型ゾイドを持たぬ帝国軍に対し優位であった。
・しかしアイアンコングの開発に成功した帝国軍は、共和国軍に対し互角の力を得る。
・更にサーベルタイガーの投入で帝国軍が優位になりかけたが、
 ウルトラザウルスの開発成功によって、一気に共和国軍が勢いづく。
・ウルトラザウルス率いる共和国軍は、ゼネバス帝国首都の攻略に成功する。
・しかしゼネバス皇帝と生き残った帝国兵は、シンカーで中央大陸を脱出し、
 北の暗黒大陸へ逃げ延びる。
・2年後、ディメトロドン、ウオディックなどの新鋭ゾイドを引き連れて、帝国軍は
 中央大陸に帰還する。
・共和国軍は新鋭シールドライガーやコマンドウルフで抵抗するも、
 帝国軍はデスザウラーを投入し戦況は一気に帝国有利となる。
・デスザウラー率いる帝国軍は、共和国首都の攻略に成功する。

以下略。

上のものは、ゾイドバトルストーリーでの描写を簡単に記したもの。
しかしゾイドバトルストーリーというのは実はゾイドのストーリーを扱った書籍としては三番目に登場したもので、それより以前に「HISTORY OF ZOIDS」「戦闘機械獣すべて」が刊行されている。
そしてその二冊の内容は、ゾイドバトルストーリーとは随分異なっている(この二冊の本のストーリー展開はほとんど同じ)。

・ゴジュラス率いる共和国軍とレッドホーン率いる帝国軍の
 戦いは次第に共和国軍が優勢になり、更にサラマンダーの就役により決定的になる。
・帝国は起死回生の切り札としてアイアンコングを投入する。しかし時は既に遅すぎた。
 高性能を誇ったアイアンコングだったが、所詮数機では共和国の猛攻を
 抑えきれるものではなかった。
・敗戦を悟ったゼネバスは暗黒大陸への亡命を決意する。
・アイアンコングは攻め入る共和国大部隊の前に立ち塞がり、
 皇帝脱出までの時間を稼ぐ役割を担う事になる。
・脱出用シンカーに乗り脱出する皇帝の背中で、アイアンコングはついに大爆発を起こした…。
END.


なんと、こっちだと帝国首都陥落と暗黒大陸への脱出が、サーベルタイガーやウルトラザウルスの参戦以前である。
ゴジュラス率いる共和国軍が、そのまま勝利してしまう。

少し加え、88年に製作されたプロモーション映像「ゾイドバトルビデオ」の事も記したい。
このビデオは、D-DAY上陸作戦~マッドサンダー就役頃までを描いたものながら、サーベルタイガーは、D-DAY時に初めて姿を見せたようになっているし、ウルトラザウルスはそれ以降に初参戦したような描写になっている。
つまりゾイドバトルストーリーというより「HISTORY OF ZOIDS」「戦闘機械獣すべて」の直系であると言える。

これは歴史が一つだとすればありえない描写だと思う。

書籍が歴史書だとすれば、その信憑性は疑ってかかるべきだろう。
戦記というのはとにかく、誤認など事実と異なった記録である事が多い。

地球のものも、事実と異なる描写がされたものが多い。
というのも戦時中においては仕方が無いものでもある。
例えば戦闘機同士の戦い。乱戦になれば、こちらの被害は基地に戻った時点で分かるだろう。だが相手を何機撃墜したかなど、なかなか分からない。
艦船を飛行機で攻撃する際も、無数の弾幕が自分を襲っている中、魚雷を何発当てたとか、どの艦種に当てたとか、その結果敵が何隻沈んだとか、正確に言えと言われても、それは酷な話である。
しかし報告書は作らねばならない。かくして真実とは違う形で戦記は作られる。…たいていは、自軍びいきな戦果として記録されるのだが。
それは歴史とは違う誤った記録となってしまう。正確な所がどうだったかは、後の研究を待たねばならぬ。

しかし個々の戦闘のような戦術レベルの記述はともかく、さすがに「敵に有力な新型機が登場した」ような戦略レベルの記述でここまで異なる描写になる事はまず無い。
普通に考えて、サーベルショックやウルトラショックが記載されないはずは無いだろう。その存在に気づかなかった事はありえまい。


私はこれを、パラレルワールドして捕らえてはどうかと思う。
パラレルワールドとは、ある時点から分岐し、それに並行して存在する別の世界を指す。並行世界、並行宇宙、並行時空ともいう。


つまりこういう事………、


もっと詳しく言うと、HISTORY OF ZOIDSと戦闘機械獣のすべては同じストーリーと書いた。
ただ厳密に言えば多少の差はある。
サラマンダー就役次期に少し差があったり、アイアンコングがHISTORY OF ZOIDSでは少数ながら量産されたのに対し、戦闘機械獣のすべてでは2号機完成を前に帝国は滅亡していたり。
なので、左側の矢印をもう少し分岐させる必要があるだろう…。

「パラレルワールドが実在するか」というのは別の話になるので置いておくとしても、捕らえ方としてはとても面白いと思う。
HISTORY OF ZOIDSや戦闘機械獣のすべては、左側の時間軸を進んだゾイド星の記録で、ゾイドバトルストーリーは左側の時間軸を進んだゾイド星の記録である、と。
いやもっと加えると、小学三年生などに掲載された方のストーリーも考えたい。
ゾイドバトルストーリーとは小一、小二、小三に掲載されたバトルストーリーを再編して作られたものである。
再編の際に改定を加えられたものも多い。
だがこれらも、パラレルワールドという捕らえ方をするなら、活かせるのではないかなぁと思う。

例えば暗黒大陸戦役時、ゾイドバトルストーリーだと、共和国軍は暗黒大陸への第一次上陸作戦に失敗している。
ガンブラスターとタートルシップを擁した第二次上陸作戦でようやく成功する事が出来た。
対し小学二年生のストーリーでは、第一次上陸作戦ですんなり成功している。
ガンブラスターの就役は学年誌ではいずれも早めで、それゆえ第一次上陸作戦に既にガンブラスターの姿が確認される。
小二のストーリーではシーマッドは撃破されず、積荷からガンブラスターを降ろし、デッド・ボーダーやダーク・ホーンを見事撃退。部隊は暗黒大陸への第一歩を記した。
これは上の図に当てはめれば「ガンブラスター開発が順調/難航」という事で分岐したのではないかと思う。

このようにしてパラレルで捕らえると、全てのゾイドの描写を「生かす」事が出来るのでは無いだろうか。
むやみに上書きするよりも、無かった事にするよりも、ずっとずっと良い捕らえ方ではないかなぁと思う。


実際はこのように無数の分かれ道があり、それぞれの書籍というのはこの中の一つの道のりから拾い上げた描写である、と捕らえたら面白いのではないかなぁ…。

その中の一つはZ-KNIGHTに繋がっていて、その中の一つは機獣新世紀ゾイドに繋がっていて、その中の一つはリバースセンチュリーに繋がっていて…、その中の一つはユーザーの想像にも繋がっている。
だからどれも正しい。

これは実に面白い事だと思うんです。
つまりユーザーが、「もし」アイアンコングの開発が史実より順調で大会戦時に200機のコングを調達できていたら(バトストでは用意できた機数は150)…と考えたら………。
ゴジュラスは敗退し、そのまま首都にコングが迫り、ウルトラ就役を待たず帝国が勝利していた可能性も……。
その世界も「アリ」に出来る。
まぁ、架空戦記の日本軍のノリですが、そういうのも面白いと思う。
そういうSSが増えても面白いと思う。

メカ生体ゾイドの結末にしても、分岐があるのかもしれない。
我々が広く知るところの歴史では、暗黒軍VS共和国軍の最終決戦のさなか、隕石が月に衝突。バラバラに砕けた月の破片はゾイド星に降り注ぎ、大異変を起こしたというもの。
ただ、小二のラストだと、隕石が月でなくゾイド星そのものを直撃。ゾイド星はバラバラに砕け散り全て宇宙の塵と消えたというエンド。
隕石が月かゾイド星かのいずれかに当たるというのは、言い換えれば片方には当たってない。
とするなら、両方外れたifなんかもあるのでは。
実際、小一と小三のバトストは、「遂に共和国が勝利した」という所で締め括られている。
その後に隕石が飛来したという可能性もあるが…。そんな悪夢のような後出しはちょっと…。
実際、私はリアルタイムの時は小三で、ゾイドの完結に涙しつつもその壮大なエンドに感動した記憶がある。
隕石云々というのはかなり後になって(1999年の復活の際に)知ったんですが、相当ショックだった。
だから当たらなかった… 星は平和になったENDは是非望みたいし、信じている。
あるいは、平和になった直後に隕石を観測、両軍のゾイドで隕石を迎え撃ち撃退というようなノリがあっても良いのかも…。

パラレルという風に考えると、設定の面で数々の議論…、もっと直接的な表現をするなら摩擦を生んでいる問題も一気に解決できるのではないかなぁ…。
いや解消するどころではなく、それによりユーザーはより深いゾイド世界を体感できるのではないかと。
もしそうなっても分岐したifを認めないならそれはもう頑固かと思う。
しかしそうなっていない現状では、新たな設定を受け入れがたい気持ちはよく分かる。

ゾイドの全てを受け入れたい。だからこそ思う。
ゾイドオリジナルで「中央大陸戦役時に居た」設定が登場するにつけ、ますますこの事を思う。
是非、公式からそのようになればと願うばかりです。
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