ゼネバス帝国が勝つ可能性を考える。

「中央大陸の統一」それは、へリックにとってもゼネバスにとっても、追い求める夢だった。
だがメカ生体ゾイドの時代、ついにゼネバス帝国は中央大陸を統一する事が無いまま、滅亡を迎えた。

国力で劣るゼネバス帝国は、どうしてもヘリック共和国に対し劣勢だったのは否めない。
しかし帝国は技術力でこれをカバーしようとした。その結果、常に共和国をリードする革新的機種を開発し続けた。
しかしその努力がついに実らなかったのは非常に惜しかったと思う。

さて、帝国は大陸統一をする可能性はあったのだろうか?と考える。
個人的にこれを考えた時、可能性は充分にあったと思うに至った。
今回は、それを記したい。

ゼネバス帝国が共和国に完全勝利し大陸を制覇する可能性が最も高かったのは、アイアンコング150機VSゴジュラス200機の決戦の時だったのではないかと思う。

この戦いがもし帝国の勝利に終わっていたなら、ゴジュラスを失った共和国に、もはやコングを止める術は無かっただろう。
マンモスやゴルドスでは相手にならない。当時はサラマンダーは特に希少なゾイドだったから、やはり抗し得まい。
いわんや小型ゾイドでは。
首都は制圧され、大陸中のマップは赤く塗られていただろう。

さて、この決戦が帝国の勝利で終わていた可能性はあるのだろうか?というのが争点になる。
そして、あったと思う。
こう思うに至ったのは、資料収集をしていて、ふと気づいた事があったからだ。
 

ゾイドのストーリーに、幾つかのパターンがある事は周知かと思う。
初期~コング就役後くらいまでの簡単な流れを、いまいちどまとめよう。

ゾイドバトルストーリー
 両国の戦いは、共和国が優勢だった。
 ゴジュラスを持つ共和国に対し、レッドホーンしか持たぬ帝国は力不足だったのだ。
 更にサラマンダーまで開発され、いよいよ劣勢は決定的になる。
 しかし帝国は、起死回生にアイアンコングを開発し、量産に成功する。
 150機生産されたアイアンコングは、あらゆる共和国ゾイドを倒しながら共和国領土になだれ込んだ。
 この事態に、共和国は200機のゴジュラスを集めて対抗。大決戦が起こった。
 戦いは、最初はミサイルを持つコングが優勢だったが、最終的には距離を詰めたゴジュラス部隊が格闘戦に持ち込み、コング部隊を撤退に追い込んだ。


History of Zoids
 両国の戦いは、共和国が優勢だった。
 ゴジュラスを持つ共和国に対し、レッドホーンしか持たぬ帝国は力不足だったのだ。
 更にサラマンダーまで開発され、いよいよ劣勢は決定的になる。
 帝国は起死回生にアイアンコングを開発する。しかしこの情報は、共和国が送り込んだスパイにより察知されてしまう。
 危機を覚えたヘリックは、コング完成前に帝国へ総攻撃を行うことを決意。大部隊で帝国領土へ攻め込んだ。
 進撃を受け、帝国は滅亡寸前になる。何とかアイアンコングは数機のみ完成したが、倍する共和国ゾイドを前についに敗北した。
 しかしアイアンコングは時間稼ぎには成功した。この貴重な時間のおかげで、ゼネバスは暗黒大陸へ逃げることが出来た。


さてこれは、「情報戦で共和国がより効果を挙げたケース」がHistory of Zoidsのものと考えて良いだろう。
いちはやくコングの開発を察知した共和国は、完成前に帝国を叩き潰す決意をする。
バトルストーリーのものは、コングの開発をキャッチできていない。おそらく、スパイは忍び込む前に処分されたのだろう……。

アイアンコングにとっては、バトルストーリーのものの方が、幸運な状況だったと言えよう。
言い方を変えれば、History of Zoidsのものは、ものすごい不幸だったと思う。

では、ここからコングが勝つシナリオを考えたい。
開発が察知されようが(History of Zoids)察知されまいが(バトルストーリー)、コングは負けている。
本当に勝つ可能性はあるのだろうか。

勝つシナリオというのは、単純に「コングを250機量産してから戦いを挑めば良かったんだ」と言うわけではない。
それは結果論から導いたただの言い訳に過ぎない。
150機で戦いを挑んだのは「数は多ければ多いほうが良い」「数が揃うまで待っていては共和国軍に察知される危険が高まる」というバランスの上で帝国が下した最終判断であり、選びぬかれた機数だろう。
この数はいじれないと思う。

そうではなく、学年誌を見ていると、実に興味深い資料を見つけた。

これはレッドホーンの内部図解で、まだアイアンコングが就役する前の時代のスナップだ。
バトルストーリーにも収録されているこの写真だが、カラーで手に入ったのは大きな収穫だった。だがそれ以上の収穫が、この記事にはあった。

なんと「帝国最強のレッドホーンを捕えた」との事で、この機体の解析により、対レッドホーン戦が大いに研究されたとの事。
実はこの写真は、共和国に鹵獲された時のものだったのだ…。

共和国部隊、帝国最強ゾイド レッドホーンを捕える!
共和国側基地で、さっそくレッドホーンのメカニズムが調査された。
これまで謎の部分の多かったレッドホーンだが、これで一気に秘密が明らかになるぞ。

遂に分かったレッドホーンの弱点
①首
斜め後ろから首の付け根を狙えば、厚い装甲板を避けて攻撃出来るぞ。
②腹
腹の装甲が薄い。土の中からガイサックで攻撃すれば、効き目があるかもしれない。
③後方レーダー
後方レーダーを破壊すれば、後ろからの攻撃は簡単に出来るぞ
④尾
ゴジュラスに比べ、尾を動かす補助エンジンの力が弱い


さて、興味深いのはここからだ。
実はこのような記述もある。

帝国側新ゾイド丸秘情報を発見!
捉えたレッドホーンの操縦席から、新型ゾイドの完成図が見つかった。
帝国側2番目の大型ゾイドらしいぞ。


なんとこのレッドホーンは、就役前のアイアンコングのデータを持っていたようなのだ。
実戦投入前とは言え、コングは明らかに完成しているので、最終テスト中くらいの時期だろう。

バトルストーリーでもこのような事件があったのだとすれば、これは一大発見だ。
…というか、あったのではないだろうか。
鹵獲されたレッドホーンの写真はバトルストーリーでも使われているのだから。
この考えが正しいとすれば、共和国は「開発段階ではキャッチできなかったが、完成直後・実戦投入前のタイミングで詳しい情報を得る事に成功した」となる。
決戦の前にアイアンコングの情報がかなり詳細に共和国側に洩れていた。

レッドホーンが持っていたアイアンコングの画像は極めて鮮明だ。
かなりの情報が書かれていただろう。
(このカラーパターンはテスト機カラーだろうか?)

もう一つ興味深いことがある。
次に紹介するのは、コング150機VSゴジュラス200機の大決戦が掲載された学年誌記事で、戦いの推移はバトルストーリーと変らない。
最初はミサイル砲撃で優位に立ったコングだが、距離を詰められ格闘戦に入ったことで敗北している。
参加機数や各撃破数、戦闘の結果なども同じ。
だが興味深いのは、以下のものだ。

この戦いに参加したゴジュラスは、改修機であるとされている。

「コングの厚い鉄板を噛み砕く為にあごの力を強化した」

今までのレッドホーンなら、爪や尾だけで勝てるだろう。
だがコングは格闘力もレッドホーンとは桁違いだ。パワーもあるしリーチも長い。
爪と尾だけでは心もとない。
この戦いで印象的だったコングの腕を噛み千切るシーンに、このような裏話があったとは非常に興味深い。

さて、私が考えた帝国が勝つシナリオというのは、「もし、このレッドホーンが鹵獲されていなかったら…」というものだ。
当然、コングの情報はいましばらく秘密のまま保たれる。
後の段階で共和国に察知されたとしても、その時すでにコングはある程度量産された後だろう。
そのタイミングからゴジュラスに改修を行うのは、時間的に難しかっただろう。

決戦は、同じく行われただろう。
150機のコングを前に、200機のゴジュラスが迎え撃つ。
しかし、迎え撃つのは無改造のゴジュラスだ。
そうなったら、どうなっていただろう。
ゴジュラスの格闘戦での絶対的優位性も、少しは揺らいだだろう。
最悪でも、コングも少しくらいは喰い下がるだろう。
その結果、ゴジュラス部隊を壊滅に追い込めた可能性も大いにあると思う。

更に、レッドホーンが鹵獲されていないとなれば、弱点も露呈していない。レッドホーンの活躍の場も少しは増えていただろう。
なにしろゴジュラス部隊が壊滅したとなれば、もうレッドホーンだって充分に活躍の場はある。
コング部隊がゴジュラス部隊を制圧し、山脈を越えてレッドホーン、ゲルダーなどの機甲師団が到着すれば、もはや共和国の命運は風船のともし火だろう。
もちろん、ウルトラザウルスの開発など出来るわけもない。

どれほど強力なゾイドでも、たかだか一機だけで戦況を覆す事は出来ない。
最初こそ猛威をふるっても、倍する敵に包囲されれば終いだ。
だが一つの情報が戦況を変える事はある。

史実でも、例えば「アクタン・ゼロ」事件は有名だ。
ゼロ戦は太平洋戦争の序盤において、米軍をもって「ゼロか雷に遭ったら退避せよ」と言わしめる程の無敵ぶりを発揮していた。
米軍はゼロの秘密を捜し求めたが、それは全くかなわなかった。
だがついに、アリューシャン列島のアクタン島に不時着した一機のゼロ戦。この機体の回収に米軍は成功した。
これによりゼロ戦の神秘のベールは剥がされ、機体特性の詳細や弱点が露呈し、対ゼロにおけるキルレシオは大幅に変化することとなった。

おそらくこのレッドホーンは、帝国からすれば非常に大きな失態をやらかしてしまったレッドホーンなのではないだろうか。

この決戦に関して言えば、帝国は「ゾイドで負けた」というより「情報戦に負けた」という側面が強い気がする。
もし、このレッドホーンが敵を退けて帝国基地に帰還していればどうなっていただろうか。


もう少しだけ別の資料を出しつつ進める。
実は、「このレッドホーンが帰還していた場合」ともとれるストーリーや情報があったりする。
こちらはホビージャパンに掲載された、アイアンコングの広告だ。

方位017 POINT03 目標補足 DATE不足 解析不能
共和国軍の電子探査師団が、ついに帝国最強メカ・アイアンコングの姿をとらえた。
わずかなシルエットをコンピューターにかけスクリーンに、より鮮明な画像を描いたが、ただその巨大さが確認されただけである。
データ不足で具体的な能力の解析は不可能であった。
しかしアイアンコングは、共和国のゴジュラス出現以来最大のメカであることは間違いない。
同時にゾイド史上最大の決戦の時が目前に迫ってきた。


文脈からして、アイアンコングと初遭遇した時の画像と思われる。
しかし詳細は全く不明なようだ。

ホビージャパンといえば、「Mark.1」という名の増刊号を季刊で出していた時期があった。
ほとんど知られていないが、Mark.1にはゾイドバトルストーリーが掲載されている。
そしてこのバルストーリーのあらすじを書くと、
■帝国基地で何やら重要な事が行われているらしいという事で、強化型ゴジュラスを中心に共和国強行偵察部隊が編成され、帝国領土に忍び込む。
 基地防衛部隊のマルダーやレッドホーンに見つかり、からくも撃退する偵察部隊一向。だが結局、秘密は分かららなかった。
 その一件からしばらく。ついにアイアンコングが姿を現す。
 圧倒的な力を発揮するアイアンコング。その猛威は強化型ゴジュラスの力をもってして抑えられず、格闘戦でも圧倒される有様だった。
 ※この改造ゴジュラスは対レッドホーン用に改造されていた
 急遽、共和国ゾイドをハイパー化する計画が立てられるが、実行にはまだまだ時間がかかりそうだ。
 はたして共和国は持ちこたえられるのか…。


非常に残念な事に、Mark.1はここまで掲載した段階で廃刊になってしまった………。
だが、このストーリーではコングがゴジュラスすら圧倒して退けて見せている。
これは、レッドホーンが鹵獲されず、何とか量産までコングの詳細情報を守りきった場合の歴史ではないだろうか。

このように考えると、魅力的な「if」が無数に浮かんでくるように思え、実に面白いと思う。
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