無敵?ギル・ベイダー

先日の記事ではギル・ベイダーの没落について書きました。
オルディオス参戦以降の悲惨さよ…。

ただ、キングゴジュラス参戦直前くらいから、再び誰も対処できない強力機として描かれています。

新鋭キングバロンもまるでかなわない。

これはメタ的な回答をすると、やはりキングゴジュラスがギル・ベイダーを倒すという展開が先にある以上、ギルを再び持ち上げておかないと盛り上がらんという事情でしょう。
うーん…、しかし、ここも末期の混迷を感じてしまう。
やっぱりオルディオスは初陣からしばらくでチトやりすぎた感じがするなぁ…。

ゾイドには、「年末に歴代最強ゾイドが登場し無敵時代を築く」→「春頃に最初の対抗機が登場する」→「年末に本格的な対抗機が登場し形勢を逆転させる」という王道があります。
最初の対抗機は、ディバイソン、デッド・ボーダー、オルディオスですね。

ディバイソンは強力機でありながら、デスザウラーを多いに引き立てた完璧なゾイドだったと思います。
デッド・ボーダーはやや暴走した気もしますが、あんがいマッドサンダーにやられている事も多い。かの槍持ちデッドの内の一機を倒したのもマッドです。なので、ギリギリのライン(あるいは半歩越えたくらい)だったと感じます。
しかし、オルディオスはなぁ…。


さて、そんなわけでオルディオス参戦後は一気に被撃破が目立つようになったギル・ベイダーですが、今回は無敵時代における描写を見てみたいと思います。
前回の最後に書いたように、このゾイドは無敵時代における描写も完璧ではなかったと思います。
今回の記事は、「恐怖の最強ゾイド」として完璧な描写をされたと評されるデスザウラーとの比較を含めながら進めます。

デスザウラーの強さの印象は、改めて語るまでもないでしょう。
その恐怖。こいつを敵に回さなくて良かった……。味方にすらそう思わせる圧倒的カリスマ。

暗黒大陸編で出現したギル・ベイダーは、個人的にはデスザウラーにもに匹敵する素晴らしいデザインと設定を兼ね備えていると思います。

超巨大ドラゴン系ゾイドであり、「不死鳥」とも称される圧倒的強さは、公式サイドとしてもデスザウラーの次世代を狙ったものと推測します。
ただ残念ながら、デスザウラーを更新し新たなるカリスマゾイドとなるには一歩不足していたとされます。


デザインは禍々しく、特に圧倒的な力を持つものだけが許される表情が魅力的だと思います。
無表情なデスザウラーと違い、表情を持ちます。しかし、その表情は不敵な感じ。貫禄があります。
両翼のビームスマッシャーも、今までの武器とは明らかに違うもので、ギル・ベイダーだけが持つ格別な感じがした。

しかし、なぜ新たなるカリスマゾイドになれなかったのか。
それを考えた時、私はその戦法にあると感じました。

ギル・ベイダーは歴代の「最強ゾイド」の中の一機です。
さて歴代最強ゾイドですが、それらは「先代の最強ゾイドを倒す」事により世代交代を印象付けます。
して、ギル・ベイダーが新たなるカリスマゾイドになれなかった理由を、その一戦にあったと思ったのです。


デスザウラーがウルトラザウルスを倒し最強ゾイドとなった一戦は、エリクソン大佐の乗るウルトラザウルスとの一戦。
この時のデスザウラーは、「思いもよらない奇策で奇襲するウルトラザウルスの先制攻撃を受け」、更に「ウルトラにとって圧倒的優位、なおかつデスザウラーにとっては全く想定されていない水中戦」を強いられます。


巨体を活かし馬乗りになり押しつぶすウルトラ。
しかし、その圧倒的な「敵のフィールド」で戦い、敵の攻撃を全て受けきった上でデスザウラーは逆転勝利した。
だから、ものすごいカタルシスを感じました。

補足すると、学年誌の戦いもアツかった。
小一では「無敵・デスザウラー」のコラムにある通り。
海上から砲撃するウルトラザウルスを荷電粒子砲で攻撃するという、やはり敵のフィールドでの戦いを強いられ、しかし勝利するというパターンだった。
小二では、サラマンダー&ウルトラザウルスが共同で鹵獲に挑むも失敗するというエピソード(これはバトスト3巻に収録されているものと同じ)があった。
敵が誇る2大ゾイドが共同戦線を余裕で撃退。やはり凄い。


デスザウラーだけじゃない。マッドサンダーもまた、敵のフィールドで戦い制するゾイドだった。
デスファイターとの一戦では、エクスカリバーでの一撃を受け止め、更に荷電粒子砲をも受けきり、そしてからマグネーザーで貫いた。

デスザウラー戦は学年誌でも多数掲載されているが、基本的に推移は同じようなもの。
全力の荷電粒子砲を防いで、その後にマグネーザーで貫く。


デスザウラーもマッドサンダーも、敵に全ての攻撃を出し切らせて、その上で勝利しているのだ。
だからもう「認めざるを得ない」
最強ゾイドが変わった。敵ながらあっぱれであると言うしかない。


して、ギル・ベイダー。
これは上記と全く事情が違う。
ギル・ベイダーとマッドサンダーの戦いは、「海上航行中のマッドサンダーを空襲し一方的に撃破」したというものだった。

うぅーん…。
このマッドサンダーは、外観からして浮いているのがやっとじゃないだろうか。
マッド艦隊旗艦のサンダーパイレーツはともかく、その他のマッドサンダーはマトモな海戦なんてできないだろう……。
海上航行中のマッドサンダーは、その真の力を発揮する事が全く叶わないまま…、せいぜいキャノンビーム砲を撃つ程度しか見せ場がないまま全滅した。
デスザウラーやマッドサンダーと比べ全く異なるのは、「敵に全力を出させ、その上で倒す][敵のフィールドで戦って勝つ」のじゃなくて、「敵の攻撃を封じた上で勝つ][自分にとって有利なフィールドで戦い勝つ」となっている点です。
だからモヤモヤが残るのかなぁ…と思いました。

ウルトラザウルスがデスザウラーに倒された事においては、もはやウルトラ派さえ交戦力の差を認めざるを得ないものでしょう。
デスザウラーがマッドサンダーに倒されたことにおいても、もはやデスザウラー派さえ交戦力の差を認めざるを得ないものでしょう。
対し、ギル・ベイダーとマッドサンダーの一戦は、「海じゃなかったら……」というシコリが大いにに残る。
そりゃあそうだ。全力が出せていないもの。マッドサンダーの力はキャのビーム砲じゃないよ…。
「認めざるを得ない」に至っていないと思うのです。

自分に有利なフィールドで戦うというのはある意味で当然というか…、そして「暗黒軍的」ではあるんですが、うーん。
やっぱり、それでは腹の底からわきあがる興奮を感じないのです。
この点が、ギル・ベイダーの新たなるカリスマゾイドになれなかった理由じゃないかなぁと思ったわけであります。

「ギル・ベイダーがマッドサンダーに勝ったんだぜ!」 とは言えるんだけど…、
「デスザウラーがウルトラザウルスに勝ったんだぜ!」 は、他に「奇襲されたのに勝った」「キャノン砲にも耐えた」「水中戦なのに勝った」など相乗効果で「もっと凄い!」を重ねて言える。だから印象がより強くなる。

「リアル」なのは良い事です。バトストにはそれを常に求めてる。
けども、それでも「ゾイドがフィクションであり、フィクションならではの豪快さを意識する」事も大事だと、「”リアル”と”フィクションならではの豪快さ”という二要素バランスを見極めることが大事じゃないだろうか」と思うんです。

ゾイドのリアルを感じさせる良い部分というのは、「ウルトラザウルスが登場したから勝った」「デスザウラーが登場したから勝った」「マッドサンダーが登場したから勝った」という単純な図になっていない所だと思います。
ウルトラは上陸作戦を可能にした。デスザウラーは電撃侵攻を可能とした。マッドサンダーは、開発と並行し行われた中央山脈攻略の成果が大きかった(マッドは中央山脈では戦えない)。
最強ゾイドだけじゃなく、その軍が採った戦略が見えてくるのが凄いと思います。
しかし、一方では「このゾイドが最強だ!」 とチビッコに分かりやすく伝える事もバトストは忘れてない。

フィクションならではの豪快さと、そしてリアルさ。この双方のバランスが絶妙だからこそ、多くのユーザーがゾイドバトルストーリーに惹かれているのではないでしょうか。
そういった意味で、ギル・ベイダーとマッドサンダー艦隊の戦いは確かに合理的でリアルだった。
けど、そちらに傾倒しすぎて腹の底からわきあがる興奮を感じる事ができなかった。

変な例えかもしれませんが、戦艦大和を航空機でなぶり沈めるのは合理的です。でも戦艦好きは大和と米戦艦のガチ砲戦を見たかったのです。
そんなもんです。


学年誌の方も見て起きましょう。
新バトストにも収録されているマッドサンダー艦隊のエピソードは小一のものです。

小二の戦いは、一戦目は飛行タイプの「サンダーヘルクレス」との戦いでしたが、これは勝負付かず。
二戦目は、これもまた改造飛行タイプの「マッドジェット」と対戦します。
マッドジェットの強烈な体当たりを喰らい地上に叩き落されるギル。

止めを刺すため追撃で突進するマッド。

しかしその時、ギルの胸部がパカリと割れ巨大なプラズマ粒子砲が現れた。

ギルは改造タイプ「ギルカノン」だったのだ。

プラズマ粒子砲を喰らい、マッドジェットは敗北した。
んー…。これもちょっとどうかと思うんですねぇ。
この戦い、ギルがノーマルタイプだったら負けてただろと思えてしまうのですね。
例えばデスファイターVSマッドサンダーのように、敵側は超強化してもいいと思うんです。「超強化された敵をもノーマル装備で倒すからこそ最強ゾイドじゃないんかい!」と思うんですよねぇ。
特化型改造タイプは、ドーピングみたいなもんでしょう。そこまでして勝ちたい執念・そこまでしなきゃ勝てそうもない戦力差を表していると思います。
しかし、新型最強ゾイドの方がさっそく強化改造しているというのは…。その強化装備を使ってようやく勝ったというのは…。

ただ、小三では新たなる最強ゾイド誕生に相応しい描写があります。

ギルの猛攻を受け後退する共和国軍。ついに、マッドサンダーがギル・ベイダーに挑む事になった。


一直線にマッドサンダーに向かうギル・ベイダー。
しかし、不意にガンブラスター部隊が現れ猛烈な砲撃を見舞う。

ギル・ベイダーはこれを一蹴し、地上に舞い降りる。
遂にマッドサンダー対ギル・ベイダーの戦いは始まったが、それは地上戦になる。

地上戦で、最強の武器マグネーザーをぶつけるマッドサンダー。
ギル・ベイダーは、翼のビームスマッシャーを回転させそれを受ける。そして…、

マグネーザーを折る。
これにより決定打を失ったマッドサンダーは、粘りつつも徐々に後退し崖から転落する。
転落時、柔らかい腹を見せたマッドサンダーはツインメイザーで貫かれ生命体が停止する。


この号は、マッド派の私から見ても凄い。もうここまでやってくれたなら認めざるを得ない。カタルシスを感じる。
単機のギル・ベイダーに対しガンブラスターを含む部隊で迎撃している=共和国側に有利なフィールドで戦っている。
「マッドサンダーの方がパワーや防御力は上」と書かれているし、マグネーザーを失いつつもマッドが粘っている事は極めて公平な描写と言える(柔らかい腹を見せて初めて貫かれている)。
その上で、それら不利を覆しつつ勝っているんだからギル・ベイダーは凄い。
マグネーザーとビームスマッシャーがぶつかり合ってるのも象徴的です。
…この戦いは新バトストに収録して欲しかったなぁ…。

ただ、学年誌でも小三のこの号を除き「ギル・ベイダー凄すぎ…」という描写はなく、自分にとって優位なフィールドで戦い勝つパターンが多い。
その辺りが、カリスマさの印象を欠いてしまったんじゃないかなあと思います。


繰り返しになりますが、「合理的に勝つ」事は当たり前の事ですが、ゾイドと言えばパワフルな豪快な戦いを大事にしてほしいなぁというか、そういったカタルシスを描いてこそなんじゃないかなと思います。
リアルな描写は求めます。理あると言うのは合理的な行動ではあるんですが、しかし一方でフィクションならではのロマンも欲しいというワガママな要望です。
ですが、そんなもんなんじゃないかなぁとも思います。

新世紀ゾイドも、後期はそんな描写が増えてしまったなぁと思います。
ダークスパイナーは「戦わずして勝つ」であり、セイスモサウルスは「敵の射程圏外から精密射撃を行い勝つ」だった。
それらは悪いとは言わないけど、やっぱり釈然としないものは残ってしまったと思います。

前期は、未完成で上半身だけにもかかわらず圧倒的な力を見せたオリンポス山のデスザウラーであったり、
デススティンガーがそのパワフルさで「それまで最強をかけ競っていた二機」をまとめて圧倒する力を見せ付けた事であったり、
装甲をパージし野生体本来の力で戦うゼロやフューラーであったり、
力強さというか、豪快さを前面に押し出した描写が多かったと思うのですが。
しかし、次第にそういった描写なくなっていった。

メカ生体ゾイドも機獣新世紀ゾイドも、豪快さをガチンコバトルでストレートに描写する事が減った時期が陰りを見せた時期に重なる…というのは何だか興味深いなぁと思った次第です。
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