工夫する事

メカ生体ゾイドの後期、大陸間戦争期はキットの魅力が減っていった時期と言われる。
今回は、「キットの構造」という視点からそれを考えてみたいと思う。

大陸間戦争期のキットでも、初期のものは完成度が高いと言われる。
デッド・ボーダーは連動ギミックこそ凡作だが、畜校パーツの露出のさせ方などデザイン面ではトップクラスに凝った部分がある。

ヘル・ディガンナー、ダーク・ホーン、ガンブラスターは、武器のギミックがそれぞれ面白い。
この三機はいずれも武器が大きく動くが、全て異なった動きをしている点に注目すると面白さが倍増する。
自慢の武器を強調しつつも各機が異なった動きをしているのはうならされる。

ゾイドには、それぞれ個性ある動きがあった。それが大きな魅力であった。
だが、これ以降のゾイドにそれは当てはまらない。
ガンブラスターの次にリリースされたゾイドはハウンドソルジャーとジーク・ドーベル。
これらのゾイドを期に、ゾイドの動きには一気に個性がなくなってしまった。
均一な動きしかしないものになった。歩行+口開閉のみという……。

ハウンドソルジャー、ジーク・ドーベルの次にリリースされたゾイドはキングライガーとガル・タイガー。
この四機を深く考えてみたいと思う。


さてハウンドソルジャー、ジーク・ドーベル、キングライガー、ガル・タイガー。
この四機のキットには面白い事がある。
それは動力ボックス。

従来、ゾイドの動きを作る動力ボックスは組済みで提供されていた。
しかし、これらの機のキットは動力ボックスを組ませるようになっているのだ。
(動力ボックスを組ませるというのは同時期にブームを起こしていたミニ四駆の影響が強いと思う)



この、組ませる動力ボックスは何気に凄い。ギアの数が極めて少なく抑えられているのだ。
単純化され組みやすいよう配慮がされている。
単純な分、耐久性も高い。小学生でも無理なく組め、モーターに触れる事ができるのは素晴らしい事だ。


これはサーベルタイガーとハウンドソルジャーの動力ボックス。
組ませる動力ボックスが、いかに単純化されているかが分かろう。

ハウンドソルジャー~ガル・タイガーの動力ボックスは、全て同じ構造をしている。
モーターやギアの配置などは寸分違わない。
トミーとしては、「組ませる動力ボックスのテンプレートを作った」という事だろうか。

この四機のギミックは、先にも書いた通り「歩行+口パク」のみ。
その味気ないギミックは、この組ませる動力ボックスゆえだ。
トミーは、多彩なギミックよりも動力ボックスを組ませる事を求めたのだろう。
これはこれで一つの進化と言えよう…。

・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
いや、私はそうは思わない。やはり、この時期のゾイドキットの構造は残念だと思ってしまう。

この四機の動力ボックスは、内部の構造は全く同じだ。だが、外側は違う。
モーターやギアを収めるボックスの外装、これは各機ごとに個別に作られているのだ。

各機のギアボックスを並べるとこの通り。
このように、内部は同じだが外部は専用だ。


私はこれを見て、初期のゾイドを思い出した。
メカ生体ゾイド初期の頃、割り当てられた予算は少なく開発は大きな苦労があったそうだ。
だがヒットに伴い予算が増え徐々に贅沢な開発が出来るようになった。

予算がなかった頃、ゾイドキットは動力ボックスを徹底して使いまわしていた。
ビガザウロとゴジュラスの動力ボックスは同じだし(ただし蓋は異なる)、レッドホーンとサラマンダーの動力ボックスも同じだった。

各機とも個性あるギミックで魅了してくれる。言われなければ同じ動力ボックスを使っていると気付かないほどだ。
この事に、私はものすごい「工夫」を感じる。


「予算はないが良いものを作りたい」そんな無茶に立ち向かうとき、できる事といえば工夫だろう。
ビガザウロとゴジュラスの動力ボックスはは、実は全く同じではない。


こちらはゴジュラスの動力ボックスを開けた姿。(ビガザウロのものは撮影できていない、、申し訳ない、、、)
両機の動力ボックス内のギアの並びには幾らかの差がある。
ゴジュラスはゴジュラス用に調整されたギアの並びなっていて、ビガザウロはビガザウロ用に調整された並びになっているのだ。

動力ボックスの金型は同じ。ギアも規格品。だから予算が抑えられている。
だがその中で並びを変えるという工夫をして動きに差を持たせている。
この素晴らしい工夫が、同じ動力ボックスでありながら全く違う動きを見せる各機に繋がっている。
レッドホーンとサラマンダーでも同じ事が言える。

このような工夫は、次第に予算が増えても中央大陸戦争時代は高く保たれていた。
デスザウラーとマッドサンダーの動力ボックスも同じなのだ。
だが、大陸間戦争で一変したと思う。

ハウンドソルジャー~ガル・タイガーの動力ボックスは、外側は各機ごとに専用に作られている。
つまり金型が専用で開発費が高い。だが中の構造は同じだ。
金をかけてはいるが工夫は少ない。
造りが従来とは逆になっている。

ゾイドがヒットし予算が増えた。それが慢心を生んだのだろうか…。正直、そう思ってしまう。
ハウンドソルジャー~ガル・タイガーの後にリリースされたゾイドも、ギミックに面白みがあるものは少ない。
総じて、やはり厳しい評価を与えざるを得ないと思う。


ハウンドソルジャー以降のゾイドは、もう一つ触れるべきものがある。グレードアップユニット接続口だ。
これは回転軸を背中に用意し、拡張性をもたせておこうというものだ。



この接続口に対応する改造パーツ(グレードアップユニット)を付ければ「ギミック付きの追加パーツ」が楽しめる。
グレードアップユニットの他に、TFゾイドの合体用ラッチとしても使用された(TFゾイドは合体するだけで連動ギミックは付かない)。
グレードアップユニット接続口が遊びがいを高めたのは疑いようがない。
ただ、不備がなかったわけではない。

グレードアップユニット接続口は、機体中央ではなく左寄りに付いている。上のキングライガー写真をよく見て頂ければわかると思う。
これが問題だ。
(片方に寄って付いた理由だが、動力ボックス内部のギア構造を単純化した為にそのような配置になっている)

左寄りにあるので、対応するグレードアップユニットのデザインもそれに応じたものにならざるを得ない。
グレードアップユニットのデザインは左右非対称で、接続口を寄せて装着時に中央になるように配慮されている。

位置に注目。

グレードアップユニットはこの対処で済んだから良かった。
だが、TFゾイドでは左寄りの接続口位置が大きな問題になった。

TFゾイドは小さな中に複雑な変形機構を内蔵している。
それゆえ接続口を寄せる事ができず、完全左右対称の造形で作られている。


接続口を出した姿。中央である事が分かると思う。

これがどう問題かというと、TFゾイドはグレードアップユニット接続口に付けると左に寄ったアンバランスな合体になってしまうのだ。
合体を売りにしたゾイドでこの仕様は頂けない…。


動力ボックスの構造をテンプレ化した事で、ゾイドキットからは工夫が大きく失われたと思う。
更に、そのテンプレも完全でなく不備があったと思う。
もちろん、組ませる動力ボックスを提供した意気込みは評価したい所でもあるが…。

工夫する事で成長が生まれる。初期~中期の頃は、たゆまぬ工夫があった。
後期でも全くそれがなかったとは言わない。ギル・ベイダーはレッドホーンの動力を使いまわしながら凄まじいギミックを作ってみせた。
だがよく出来た機がある一方で、全体的なレベルは面白みのないものになってしまったと思う。


機獣新世紀ゾイドのキットは、メカ生体ゾイド後期よりは大きく改善したと思う。だが、メカ生体初期ほどの工夫は感じない所もある。
「歩くだけ」で連動ギミックに面白みがない機も多い。体形の似た機が多く差を付けにくかったという事情もあったとは思うが…。
ただ、ギアボックスの使いまわしは減った。その機専用の動力ボックスが増えた。
設計・構造を考えると、メカ生体初期ほどの工夫している面白みは感じないというのは正直な感想だ。
同じ動力ボックスからこんなものが生まれるんだ! という驚きがもっとあったら嬉しかった。

求めすぎかもしれない。ただ、量産される機械の構造や工夫、洗練に美しさを感じる者として、たとえ凄い動きでも専用に特化して作られているならそりゃぁ出来るだろうと思ってしまう所はある。汎用性があり色々なものに流用できるのに、それでもって新しい動きを作り出してみせる所に魅力を感じる。

近年のキットでは、クリムゾンホーンが工夫をして面白いギミックを作ったと思う。レッドホーンともダーク・ホーンとも違う武器の動きを見せてくれた。
ヴァルガも、ウオディックやコマンドウルフと同じHiユニットを使いながら超弩級のギミックを見せてくれた。
またいつか、素晴らしい工夫を持った新しい構造が出るととても嬉しいと思う。
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