接着の話

接着剤の話です。

改造をしていると、何かと接着が必要になります。
本記事ではゾイドの接着について今のところの研究結果・・・というか状況を書きます。
今回は接着に限った話なので必要外の部分には最低限しか触れません。
「今のところの」なので、情報提供や誤りの指摘などあるととてもありがたいです。

プラモ。プラスチックモデル。
プラスチックと一口に言ってもプラモの素材は「PS」と「ABS」に分かれます。
ゾイドはABSです。

PSは「ポリスチレン」「スチロール樹脂」とも呼びます。
主にタミヤやハセガワのスケールモデルなどに採用されている素材で、「昔ながらのプラモに使われている素材」と言えば分かりやすいでしょうか。
スタンダードな素材ですが、弱点は磨耗に弱いこと。
これは凹凸スナップフィット……、ゾイドの3mmハードポイントと武器がPSだったと想像してください。
武器を付けてグリグリ動かしていると、穴がだんだん広がって保持力がなくなってしまう。こういう事が起こるのがPSです。

そこでPSに代わる新素材ABSの登場となります。

ABSはPSに比して柔軟性と強度が高い。これが採用されている代表格はエアガンです。
エアガンは発射の時にかなりの衝撃がきます。PSでエアガンを作ると早期に耐久限界が来てしまう。しかしABSは強いので長期間の酷使に耐えるわけであります。

プラモでは近年採用される機会も増えました。
耐久性が高いので、特にギミックや可動があり「頻繁に動く」箇所はPSでは心もとない。なのでABSというわけです。
上記した凹凸スナップフィットの例を思い出してください。素材がABSなら同じ事をしても保持力低下が起こりにくい。
長時間遊んでも良好な状態を維持します。

じゃぁ全部ABSにしろよという話ですが、色んな理由があってそうはならない。
現在のプラモはPSとABSが混在しています。プラモだけじゃなく、モデリングサポートグッズやプラ板やプラ棒などのサポートグッズも両方の素材のものが存在します。
素材が混在しているので、とても困るのが接着です。


PS用の接着剤で最も強度が高いのは「溶かして溶接する」タイプです。
私は「タミヤセメント」を愛用しています。


これは「①塗った箇所が一時的に溶ける。②その状態で張り合わせる。③乾くとガッチリ溶接される」という流れです。


図にするとこんな感じ。
AパーツとBパーツを接着したい。
あわせる部分(この場合はAパーツの底面)にタミヤセメントを塗って押し付ける。するとこうなります。

溶接しパーツが一体化するわけだから、そりゃぁ強固になるわけだ。
なおタミヤセメントはABSは溶かさない。PS専用です。

対して、アロンアルファなどの瞬間接着剤(正式にはシアノアクリレート系接着剤という)はプラを溶かすことはありません。
ただし乾くと硬化するのでパーツを保持できるという構造です。


こういうこと。
ただし、やはり溶接に比べると弱い。衝撃を受けると取れやすいのが弱点です。
接着面に対して垂直の引っ張りには強いが水平方向の衝撃には極めて弱い。なので理想的に言えば「真鍮線の軸を通して水平方向のズレを無くす」措置をしてから接着した方が良い。
しかしこの措置をしてもなお溶接よりは強度が劣ります。


ではABSは。これを接着したい時はどうする。
瞬間接着剤はもちろんイケます。
でももっと強度が欲しいんだ。溶接はできないのか。

やはり溶接できる接着剤があります。

うちには「タミヤセメントABS用」があります。
これを使えばABSでも溶接ができる。

これでABSで出来たゾイドも接着できるのか。安心。やったねたえちゃん!
……その筈なんです。
ただ……、これがなぜか私の検証だとくっ付く場合とくっ付かない場合があります。

・くっ付く(強固)
・くっ付く(心もとない)
・くっつ付ない
くらいに分かれるんだよなぁ……。

ネットを見てもあまりそういう情報は出てこない。
「ABSにABS用接着剤を使ったら充分な強度でくっ付く」という情報のみ出てくる。なんでだ……。

ただ…、ABSはA(アクリロニトリル)、B(ブタジエン)、S(スチレン)の3種類の樹脂を混ぜたものです。
そして各メーカーやキットなどで3種の配合率が異なっているそうです。
配合率が異なっていても区別せずABSと呼ぶ。柔軟性重視のABSもあれば、強度重視のABSもある。硬さや艶にも差が出る。
要するにABSには幅が非常に広い。
ここに秘密があるんじゃないかなぁ…。

例えばガンプラもABSを採用していますが、素材感は均一な感じがする。(もっとも私はガンプラはそれほど作ってないので検証はしかねますが)
対してゾイドのABSってめちゃくちゃ幅がある。

基本はシールドライガーやセイバータイガーの装甲などの素材でしょうか。①と呼びます。
一般的なプラスチックだ!という感じのスタンダードな硬さと質感です。

次にメタリックな銀パーツ。イグアンやモルガなどの装甲の素材です。②と呼びます。
①に近い質感ですがメタリックなので若干感じが違います。少し硬めだと思う。

次にメタリックな銀パーツその2です。バーサークフューラーの銀パーツなどがこれ。
③と呼びます。機獣新世紀中期から銀色はこれになりました。
②よりも光沢が鈍い(粒子が荒い感じがする)。
やたら柔らかい。ちょっと塗装しにくい。

次にメタリックな金です。シールドライガーMK-IIのキャノンビーム砲などです。
④と呼びます。これは③よりも更に柔らかい。プラスチックとポリの中間くらいに感じる。塗装がかなり困難。

次にセイスモサウルスの赤パーツです。
⑤と呼びます。これは異常に固いし割れやすい。
硬度だけは高いがABSの特徴である筈の柔軟性と強度はまるでない。問題ありまくりな材質……。

パッと思いつくだけでこんな感じ。細かく見ると他にも膨大な種類があります。


思うに、配合率が極端に違う。なので、ものによってはABS用接着剤を受け付けにくいものや受け付けないものがあるんじゃないかなぁ……。
①のスタンダードなABSと思えるものは比較的引っ付くものが多いと感じます。
ただ中にはくっつかないものもありました。質感が同じでも中身が違うものがあるのかもしれない。
(私が検証しているキットは主に機獣新世紀時期のものですが、この年代のmade in chinaは品質があまり良くないのでその辺も関係しているのかもしれない)

ガンプラは模型として作られているので接着を考慮に入れてる設計。対してゾイドはあくまで玩具。
もちろん改造は推奨しているんだけど、そこまで厳格じゃない。瞬間接着剤でイケるからいいのでは? という考えなんじゃないかなぁ……。
そこに差があると考えています。

漫画「ゾイドバトラー雷牙」でも瞬間接着剤を推奨する展開がありました。




(これをもって公式見解とするかどうかは分かりませんが)

ABS用接着剤にも様々な種類があって、各社(タミヤ/クレオス/セメダイン社など)のもので特性に差があるらしい。
私は所詮は数種類のゾイドの余剰部品とタミヤセメントABS用しか検証できていません。
もしかすると全ゾイドに対応する接着剤があるのかもしれません……。
でも、それを検証するともうキリがないので、諦めて瞬間接着剤で接着してしまっています。


改造だとPSとABSを接着したい時もあって、そんなときは更に難解……。
PS用接着剤はPSしか溶かさないし、ABS用はABSしか溶かさない。
じゃぁどうするんだ。

たとえばゾイドのパーツは肉抜きがある。なのでプラ板(タミヤの白プラ板=PS)でフタをしたい。
こういう時です。

ネットを見ると「タミヤのABS用接着剤を使えばタミヤの白プラ板は溶けるので溶接可能」と出てきました。
PS用接着剤はABSを溶かさない。でもABS用接着剤はPSをもある程度溶かすとのこと。
でも検証したら全然ダメだった。

タミヤの白プラ板は接着剤の実験を行いました。

こんな風に両接着剤で接着し検証しました。
プラ板を二枚張り合わせています。
結果、PS用は当たり前に溶接できました。しかしABS用は表面をわずかに荒らした程度で溶接には全然至りませんでした。


表面が少し荒れているのが分かると思います。
確かに若干は溶かしているらしい。
ただし接着は全然できず、はがすと力を込めるまでもなく簡単に剥がれました。
これではダメだ・・・・・。


結局、瞬間接着剤にいつも頼っています。
溶接よりは強度に劣るもののやはり圧倒的に使いやすく確実な感じがする。

PSは良いのです。PS用の接着剤で付く。
ABSはABSの配合率で付いたり付かなかったりのブレが出る。あやしい。
PSとABSの接着だと…、もはやわけがわからん。
自己検証したものをまとめると、そんな感じです。

あと、PSとABSって見て触って確実に差が分かるもんじゃない。
ランナーに付いた状態ならランナーに刻印がある場合がほとんどなのでそこで分かる。
または説明書があればそこに記載があるので分かる。
でもジャンクパーツだった場合はなぁ。見て触ってもどっちなのか分類できない。
なのでジャンクパーツを合わせて構成する場合などは、ホントに接着が難しいです。

結局は瞬間接着剤に行き着いてしまいます。強度がちょっと・・・という問題はあるにしても、PSとABSを両方接着できる瞬間接着剤はやっぱり総合的に最強かもしれないなぁ…。
タミヤセメントの「流し込み」のものを使えばOKという話も聞きましたが、これは未トライです。
余裕がある時に試してみようかなとは思いますが、全ゾイドに対してうまくいくかなぁ…。

うーん、接着。
悩ましい問題です。
あまり悩まずPSと確実に分かるものはタミヤセメント。不明なものは瞬間接着剤を愛用していけばOKなのかしら……。
将来的にPSでもABSでも両対応確実に溶接できるスーパー接着剤が出ると嬉しいんですが。
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コメント

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No title

タミヤ流し込み速乾やクレ流し込みをガンプラやHMMゾイドのABSパーツの合わせ目消しに使ったことがありますが、本家ゾイドはまだでした。
一応ググってみるとタミヤ流し込みでコマンドウルフの合わせ目消しをしているところがありますね

No title

確かにABSってキットのメーカーであったり接着剤のメーカーであったりで差があるのですよね。

ホビージャパンでギルラプターの作例を出していた号では、ゾイドキットの抜き出し穴には他のキットのジャンクのランナーを切り刻んでつっかえ棒のようにして詰めて、瞬着パテで蓋をして、瞬間接着剤の効果促進剤を吹いていた……とあったのを覚えています。

結局瞬着が一番に行き着いちゃいますね。

ABS接着

ABSはメチルエチルケトンが安定して接着できると思いますよ。
(溶解力が強いのでPCには付け過ぎ注意ですが)
タミヤセメントの速乾タイプに入ってますが、酢酸エチルとか混ぜて溶解力を調整してるのか、一応ABSもくっつきますが若干弱めです。

あとは、グッスマが一時出してた強力溶着剤はたしか塩化メチレンなので色々くっつくと思いますが、けっこうヤバ目の溶剤なので、家で使いたくはないですね。

No title

私はタミヤの流し込みタイプ(100%溶剤分なのでABSにもくっつく)で固定して、しばらく乾燥させた後に瞬間接着剤を周りに流して補強するやり方でやってますね…
流石にゴジュラスの尻尾付け根のような力のかかる部分では無理ですが、それなりにしっかり固定できたすよ

No title

>NoNameさん
貴重な情報ありがとうございます!
コマンドウルフだとホロテックスやストライカーが材質がかなり違う感じもしますね。
一度速乾や流し込みを広くテストしてみようかなー・・・。

>やまさん
幅が広すぎるんですよね、、、。
ホントに同じ材質なんか??? と思ってしまうくらい幅があります。
もうちょっと厳格に管理して欲しいなあ。
「ABS-A」だとA成分が多いから接着の傾向はこれだ…! というように、ABSの中でも方向が分かりやすいものになってほしいなぁ。

なんだかんだ言ってやっぱり瞬着は強いですねえ。

>TECH-Nullさん
おおお、これは有力な情報! ありがとうございます!!
詳しい解説分かりやすいです。

グッスマの接着剤、ヤバ凄いですね。。。。
伝説の接着剤になってそう。
どんな世界にも強力すぎるけど人体にヤバイので廃盤になる商品ってありますよね・・・・。

>ガネオ・トカゲさん
なるほそ、併用するのも手ですね!!
少なくとも片方だけというよりはガッツリ付きそう。
試してみたいです!
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